入管法、共闘亀裂深める 維新協議前のめり、立民対決回帰

東京, 4月28日, /AJMEDIA/

立憲民主党と日本維新の会による国会共闘の亀裂が深まりつつある。外国人の収容・送還ルールを見直す入管難民法改正案を巡り、維新は与党と修正で合意。立民は協議の枠組みから離脱し、改正案反対を決めた。主導権争いが背景にあり、両党内からは共闘解消を求める声も漏れる。
 「できる限りの修正になった」。維新の遠藤敬国対委員長は27日、国会内で会談した自民、公明、国民民主各党などの国対委員長と改正案の修正で合意し、こう胸を張った。
 修正協議は維新が自民党に持ち掛け、国民などに参加を呼び掛けた。改正案は2年前、入管施設収容中のスリランカ人女性の死亡問題で世論の批判が強まる中で成立断念に追い込まれた経緯があり、今回も波乱含みとみていた自民党にとって維新の提案は「渡りに船」だった。
 提案の背景には将来の野党第1党争いを見据え、国会対応の主導権を立民から奪いたい思惑もあった。維新は昨秋、立民と国会共闘で合意。しかし、立民議員の「サル」発言が飛び出すと、今月に入り「信頼関係は完全に損なわれた」(馬場伸幸代表)と共闘を凍結した。
 維新が21日の初日の協議で要求したのは難民調査官の人材育成など「受け入れられる内容」(政府関係者)ばかり。自民党関係者は「要求項目は維新が法務省に作らせた。のめて当然」と明かす。維新の藤田文武幹事長は記者会見で「何でも高い球を投げるのが野党の仕事ではない」と立民を当てこすった。
 立民は混乱を極めた。長妻昭政調会長は20日の会見で、立民の対案を丸のみしない限り「協議に加わることはあり得ない」と明言。しかし、別の党幹部は維新と歩調を合わせるよう実務者に指示し、立民は21日からの協議に加わった。
 与党が立民に示した修正案に、専門家の間から「すごい前進」(橋本直子一橋大大学院准教授)との声も上がる。立民が求める難民認定に当たる第三者機関設置について「検討する」と付則に明記。不法滞在の外国人の子どもを救済するため、在留特別許可の考慮事情に「子どもの利益」を追記した。
 国外退去を拒否する送還忌避者のうち、日本で生まれた18歳未満の子どもは昨年末時点で201人。自民党実務者はこれらの子どもに在留特別許可を与える方向だとも伝えた。一方、修正案のうち立民の要求に応えた部分は、立民が反対を決めれば取り下げるとも説明した。
 立民は25、26両日、法務部門会議で修正案への賛否を協議したものの、「子どもを救うべきだ」などの賛成論は少数にとどまり、「第三者機関設置の保証はない」「法案の骨格は変わっていない」などの反対論が大勢を占めた。
 衆参5補欠選挙と統一地方選での維新躍進への焦りも反対論を増幅させた。立民幹部は「万年野党なら微修正でもいいが、立民は政権を目指す」と反対理由を説明。若手は「維新主導の修正協議に乗れば、立民の存在感は示せない」と語った。
 立民内では「共闘を見直す時期だ」(幹部)との声も上がり、維新若手は「立民とはもう難しい」と語った。

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