先端技術研究、防衛省の関与強化 国家安保戦略に明記へ

東京, 11月6日, /AJMEDIA/

 政府は防衛力の抜本的強化に向けて、先端技術研究への防衛省の関与を強化する方針だ。近年では人工知能(AI)や小型無人機(ドローン)などの軍事利用が急速に進んでいる。先端技術の官民連携は経済産業省などが中心だが、民生と軍事を明確に区分する手法は技術開発の遅れを招いているとの指摘がある。防衛省の関与強化を年末に改定する安全保障3文書に明記することを検討している。
 「個々のプロジェクトに防衛省の研究者が参画する仕組みを含め、関係府省との連携を深化させ、真に防衛に役立つ仕組みを構築したい」。浜田靖一防衛相は10月、防衛力強化を議論する政府の有識者会議でこう強調した。
 軍事分野での研究・開発を巡っては、政府内で「産官学」の連携強化を目指し、機密保護や情報管理のため、既存大学の外部に民間や防衛装備庁の研究者が集う研究拠点を置く案が浮上。将来の軍事利用をにらんだ先端技術研究を支援する米国防総省の国防高等研究計画局(DARPA)を踏まえ、日本版DARPAの創設案なども出ている。
 民生でも軍事でも利用可能な技術は「デュアルユース」と呼ばれ、ロボットやロケット開発、サイバー技術などが挙げられる。ロシアのウクライナ侵攻ではドローンやインターネット技術が注目された。海外では中国が「軍民融合発展戦略」を推進するなど、国を挙げて先端技術の開発に取り組んでいる。
 こうした各国の現状も踏まえ、10月の有識者会議では「防衛相は総合科学技術・イノベーション会議の正式メンバーに入るべきだ」、「(政府全体で)科学技術関係予算は約4兆円あるが、そのうち防衛省は約1600億円とわずかだ」といった意見が相次いだ。
 課題は、軍事研究は行わないとの立場を取る日本学術会議の理解が得られるかどうかだ。同会議は7月、デュアルユースの研究について「単純に(軍事と民生に)二分することは困難」とする見解をまとめた。これまでの姿勢を変化させたとの受け止めもあったが、同会議は軍事研究そのものを認めたものではないとしている。

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