リスク管理の甘さ露呈 市場の信頼揺るがす―SMBC日興

東京, 3月6日, /AJMEDIA/

 SMBC日興証券の近藤雄一郎社長は5日、役員を含む4人が逮捕された金融商品取引法違反事件を受けて東京都内で記者会見し、社内のリスク管理に甘さがあったことを認めた。大手証券の一角で複数の幹部が関わった相場操縦疑惑は、東証が再編を進める市場の信頼を揺るがしかねない事態。企業風土を含めた徹底した原因解明と再発防止が求められる。
 近藤氏は「市場の公正性に不信感を招いた」と陳謝。自身の責任については「まずは信頼回復に努める」と述べ、外部弁護士による調査や捜査の結果を踏まえ「人事処分を含め厳正に対処する」と述べるにとどめた。
 売却予定の株を引き取り、時間外に相対で売るブロックオファー取引は年間数十件あり、数十億円の収益を上げていたという。近藤氏は、引け間際に大きな買いが入った場合は社内システムで検知できるが、審査担当者の「目線が統一されていなかった」などと説明。同取引に特化した社内ルールはなかったが、取引の公正さを期す行動規範に照らせば、ブロックオファーの対象銘柄を自己売買部門が取引時間の終了間際に買うのは「控えるべきだった」と話した。
 SMBC日興は2012年と18年にも関係者のインサイダー事件が露呈。今回の事件が会社の利益を目的としていたとすれば、意味合いは重く、近藤氏は「法人として責任を追及される可能性がある」と言及した。
 証券界では、ブロックオファーを行う銘柄の自己売買を自粛するなど、より厳格な運用をしている社もある。ただ、企業ごとに違いもあり、業界全体でルールを整備する必要性も問われそうだ。

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