タリバン政権にインド危機感 過激派放置でテロ活発化の恐れ

東京, 9月17日, /AJMEDIA/

アフガニスタンでイスラム主義組織タリバンが権力を掌握し、暫定政権を発足させたことに、南アジアの大国インドが神経をとがらせている。タリバンの「後ろ盾」とされる隣国パキスタンとアフガンの国境地帯には多くの武装勢力が拠点を置いており、タリバンがこれらの組織の活動を傍観した場合、「テロがインドに波及すると懸念を強めている」(インド紙)ためだ。

 インドのジャイシャンカル外相は13日、国連の会合で「極めて近い隣国として、インドはアフガン情勢を当然の懸念を持って注視している」と指摘し、タリバン暫定政権の動向を見守る姿勢を強調した。だが、インドが最大級の警戒を続けていることは明白だ。

 インドが懸念するのは2008年に商都ムンバイで起きたような大規模テロが再び発生する事態。このテロでは高級ホテルなどが標的となり、日本人1人を含む160人以上が死亡した。パキスタンに本拠を置くイスラム過激派「ラシュカレトイバ」(LeT)の犯行とみられている。

 インドのメディアによれば、LeTはアフガンにも基地を有している。主要紙ヒンドゥスタン・タイムズによると、アフガン国内にはLeTのほか、タリバン暫定政権の内相代行に就任した強硬派ハッカニ氏が指揮する「ハッカニ・ネットワーク」を含めパキスタンに拠点を置く最大1万人の過激派が流入しており、インド治安当局が懸念を抱いている。LeTは戦闘員勧誘や資金調達などでタリバンと緊密な関係にあるといい、米軍撤退完了とタリバン復権でこうした過激派が伸長すれば、インドの権益がテロの対象となりかねない。

 タリバン暫定政権を承認するか、インドは方針を示していない。タリバンは当初、少数派を含む「包括的な」政府を樹立する計画を公表したものの、実際の閣僚はタリバンの幹部で占められた。20年前に崩壊した旧政権と同様、極端なイスラム原理主義に傾倒するとの見方も広がる中、タリバンがイスラム過激派を取り締まるとは考えにくい。
 インドの国際問題専門家は地元紙に「(インドを敵視する)パキスタンに支配されたタリバンは(旧政権時代と比べて)より大きな悪影響を及ぼす恐れすらある」と危機感を募らせた。

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