「統合司令官」の創設検討 自衛隊を一元指揮、有事に備え―防衛省

東京, 9月19日, /AJMEDIA/

 防衛省は、陸海空3自衛隊の部隊を一元的に指揮する「統合司令官」と、それを支える「統合司令部」を創設する案について本格的な可否の検討に入った。部隊運用に専念するポストや組織を設けることで即応力を高めるのが狙いだ。
 年末までに予定する国家安全保障戦略など3文書の改定に合わせて組織形態や権限、人員、設置場所について議論し、方向性を打ち出す考え。同省関係者が18日までに明らかにした。
 自衛隊の指揮は現在、制服組トップの統合幕僚長が首相や防衛相を軍事専門的観点から補佐して命令を受け、その執行に当たる体制。統幕長を支える組織として、陸海空の自衛官(制服組)や一部の防衛官僚(背広組)で構成する統合幕僚監部が置かれ、部隊運用や計画策定など実務を担当している。
 統合司令官と統合司令部の新設案は、自衛隊が大規模に活動した2011年の東日本大震災を受けて浮上した。統幕長が部隊の指揮に加え、首相官邸への報告や米軍との調整に忙殺された経験から「首相・防衛相の補佐と命令執行を同一人物が担うのは負担が大き過ぎる」との声が制服組を中心に上がり、自民党の提言にも盛り込まれた。
 最近は中国が台湾への軍事的圧力を強めるなど日本の安全保障環境は厳しさを増している。宇宙、サイバー、電子波といった新領域への対応も課題となっており、「有事」に効果的に対処できるよう組織改編を急ぐべきだ、との主張が改めて広がった。
 新たな体制としては、統幕長の下に統合司令官を置いて部隊指揮を任せ、統幕長は首相や防衛相の補佐などに集中する形が想定されている。統合幕僚監部の運用部門が統合司令部に移ることが軸になるとみられる。陸海空の指揮統制システムの連携を強化する取り組みは既に進んでいる。
 一方で、首相・防衛相の補佐と命令の執行という二つの役割をめぐっては「分離不可能」(背広組幹部)との意見が根強い。ポストを増やすことでスムーズな指揮を妨げる恐れも指摘されており、3文書改定段階では結論を明確に出さない可能性がある。

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