「日本の呼応」で難航 徴用工問題、世論うかがう韓国

東京, 11月15日, /AJMEDIA/

韓国の尹錫悦大統領は13日、訪問先のカンボジアで岸田文雄首相と会談した。しかし、日米韓、米韓に付随する形で行われ、内容も北朝鮮への対応が中心。懸案の元徴用工問題では早期解決に向け協議継続を確認するにとどまり、日本の謝罪や資金拠出など韓国が要求する「日本の呼応」を巡り交渉が難航しているもようだ。
 14日未明、尹氏はフェイスブックで「韓米日首脳が初めて包括的な共同声明を採択した意味は格別だ」と成果を強調。ただ、日韓首脳会談の内容には触れなかった。9月の国連総会の際、日韓首脳の協議を「懇談」と位置付けた日本側にとっては約3年ぶりの会談だが、韓国は当時既に「会談」と説明。今回は日本側が正式な会談に応じたこと以外の成果は乏しかったと言える。
 関係者によると、元徴用工問題の解決策として韓国の公益法人「日帝強制動員被害者支援財団」が被告企業の賠償金を肩代わりする案が軸になっている。2014年設立の同財団は日韓請求権協定に基づく日本の経済協力を受けた鉄鋼大手ポスコが寄付金の大部分を拠出。原告の同意が不要な「併存的債務引き受け」の方法での肩代わりが想定され、日韓外交当局間で法的側面など突っ込んだ協議が行われている。
 しかし、一方的な譲歩と映ることを避けたい韓国側は「日本の呼応」を要求。原告側の意向を反映し「被告企業による謝罪と財団への寄付」を提起しているが、日本企業の賠償責任を認められない日本側にはハードルが高い。韓国側では「岸田首相が国会答弁で『未来志向』『反省とおわび』を明記した1998年の日韓共同宣言など従来の政府見解を踏襲する立場を示す」といった「妥協案」も取り沙汰される。
 韓国側は表向き「解決策を一つに絞っているわけではない」と慎重な姿勢だ。韓国外務省は「幅広い関係者が参加するオープンな討論会を検討中」と9月以降説明しているが、具体化していない。年内妥結を視野に置いているものの、岸田政権の支持率が下がり、韓国側もソウル・梨泰院の大規模雑踏事故の対応を巡って政府批判が強まっている。日本との詰めの協議を急ぐ一方で、どのタイミングで世論に解決策を投げ掛けるか、慎重に見極めているとみられる。

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