「強い沖縄経済」戦略、5月策定へ 本土復帰50年、知事選思惑も―政府

東京, 2月28日, /AJMEDIA/

 政府は沖縄の本土復帰50周年を5月に迎えるのに合わせ、「強い沖縄経済」構築戦略を取りまとめる方針だ。観光業への依存が目立つ沖縄経済の自立に向け、振興の青写真を描くのが狙い。秋の知事選のアピール材料にしたい思惑も見え隠れする。
 「強い沖縄経済」は岸田文雄首相が昨年12月の所信表明演説で打ち出した。政府関係者によると、首相官邸の強い意向で明記が決まったという。首相は1月の施政方針演説でも「復帰の歴史的意義を想起し、沖縄の歴史に思いを致す。『強い沖縄経済』をつくるための取り組みを進める」と訴えていた。
 政府が沖縄経済の振興に力を入れる背景には、米国の施政権下から日本に復帰して半世紀を経てもなお経済が本土に比べて立ち遅れている現実がある。復帰以来、政府が振興費13兆円超を投じてきたにもかかわらず、1人当たりの県民所得は全国最下位。労働生産性は低く、子どもの貧困や高校・大学進学率の低さも課題だ。
 新たな戦略で政府が目指すのは「観光一本足打法」(関係者)からの脱却だ。観光・リゾートに加え、(1)農水産業・加工品(2)IT関連産業(3)科学技術・産学連携―を戦略の柱に据えたい考え。従来の発想にとらわれない戦略の策定に向け、3月31日まで内閣府の特設サイトで国民のアイデアを募集する。
 もっとも、今年は沖縄の「選挙イヤー」。夏の参院選に続き、秋には米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設の行方を左右する知事選も予定される。岸田政権は総力戦で臨む構えで、政府内からは「県政奪還戦略の一環ではないか」との声も漏れる。

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