顧客紹介、慎重論押し切り再開 利益優先か、経営層関与焦点―ビッグモーター不正・損保ジャパン

東京, 8月16日, /AJMEDIA/

 中古車販売大手ビッグモーター(BM、東京)の保険金不正問題で、損害保険ジャパンが昨夏、いったん停止したBMへの顧客紹介を社内の慎重論を押し切って再開していたことが15日、分かった。関係者によると、損害調査など複数の部署で、BMによる保険金の不正請求の調査が不十分として再開に慎重な声が出ていたが、利益優先で再開した可能性がある。
 BMへの顧客紹介は、その後新たな不正が発覚したとして再び停止した。
 BMは損保ジャパンにとって、一時は年間100億円以上の規模の自動車保険契約をもたらした得意先とされる。金融庁も顧客紹介の再開に関し、営業など特定部門の意向が強く働いた結果、顧客の利益を損なう行為がなかったかを注視。再開に関する意思決定への経営層の関与を含め、ガバナンスの在り方を厳しく追及する構えだ。
 損保ジャパンは事故に遭った顧客に取引先であるBMの修理工場を紹介していた。保険の不正請求の疑いが浮上したことから他の損害保険大手とともに昨年6月に紹介を中断したが、損保ジャパンだけは同7月下旬に再開した経緯がある。
 関係者によると、同じ時期にBMの兼重宏行社長(当時)が損保ジャパンを訪れ、顧客紹介の再開などを強く求めていた。別の関係者は、営業部門以外の部署では慎重な意見が根強くあったと証言。再開の背景には経営層を含めた「利益至上主義」があったと指摘した。
 BMと損保ジャパンを含む損保大手との間では、修理が必要な車両の紹介に応じて、中古車販売に伴う自動車損害賠償責任(自賠責)保険の契約が割り当てられる「もたれ合い」の構図があったことが判明している。
 金融庁は今年7月末、損保ジャパンなど損保7社と保険代理店登録を受けるBMに対し、報告徴求命令を出した。損保ジャパンに対しては、顧客紹介の再開に至った経緯について詳しい報告を求めている。同社は8月末までに報告を提出する方針だ。

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