雑誌発売前に漫画をネット投稿 “早バレ”行為疑いで2人逮捕

東京, 02月05 /AJMEDIA/

漫画雑誌が発売される前に、作品の画像をインターネット上に投稿する、いわゆる「早バレ」と呼ばれる行為を行っていたとして、東京都内の会社経営者ら2人が著作権法違反の疑いで熊本県警察本部などに逮捕されました。警察によりますと、調べに対し2人は「画像は公開していない」などと容疑を一部否認しているということです。

逮捕されたのは、いずれも外国籍で、東京 北区にある「Japan Deal World合同会社」を経営するムサ・サミル容疑者(36)ら2人で、この法人も著作権法違反の疑いで検挙されました。

熊本県警察本部などの調べによりますと、2人は、▽去年3月、集英社の雑誌「週刊少年ジャンプ」で連載されている人気漫画の画像データを発売の数日前に無断でインターネット上に投稿し閲覧できるようにしたほか、▽先月31日には、発売される5日前の漫画の画像をスマートフォンで撮影し複製したとして、著作権法違反の疑いがもたれています。

こうした行為はいわゆる「早バレ」と呼ばれ、これまでの調べによりますと、2人は雑誌を発売日より前に都内の店舗で入手していたということです。

警察は、ほかにも関わっていた人物がいるとみて、運営の実態を詳しく調べることにしています。

警察によりますと、調べに対し2人は「画像は公開していない」などと容疑を一部否認しているということです。

集英社「今後の被害抑止につながることを期待」
被害を受けた集英社は、容疑者が逮捕されたことについて「警察による『早バレ』のルートの解明が、今後の被害抑止につながることを期待しています。これからも、著者が心血を注いで作り上げた作品とその権利を守り、読者の皆さまに漫画を適正な形で楽しんでいただくことができるよう、あらゆる対策を積極的に講じてまいります」とコメントしています。

“早バレ”とは
漫画雑誌が発売される前に、作品の画像をインターネット上に投稿し公開する、いわゆる「早バレ」と呼ばれる行為。

警察や被害を受けた出版社によりますと、「早バレ」によって投稿された作品の画像の多くは、雑誌のデジタル版の電子データではなく、誌面を撮影したり、スキャナーなどで読み取ったりしたものだとみられるということです。

なぜ、発売前の誌面を撮影することができるのか。

雑誌が全国に流通し、販売されるまでの流れをみると、出版社は雑誌を正規の発売日に全国の書店で一斉に販売してもらうため、発売日よりも前に書店に雑誌を届けています。

この際、出版社側は正規の発売日に販売を始めてもらうよう書店側に要請しているということですが、雑誌を取り扱う店舗のなかには、このルールを守らず、正規の発売日より前に販売しているケースもあるということです。

読み取った画像に修正を加えることで、紙の雑誌を読み取ったものではないように加工されたケースもあったということですが、出版社側が確認したところ、出版社から電子データなどが流出したものではなかったということです。

出版社「業界の仕組みを揺るがしかねない行為」
被害を受けた大手出版社によりますと、こうした「早バレ」によって画像がSNSに投稿された場合、利用者の興味に基づいた投稿が「おすすめ」などとして表示されるSNSの性質上、好きな漫画の「早バレ」の投稿が勝手に表示されてしまい、利用者が意図せず続きの展開を読まされるケースがあるということです。

出版社には読者から「定期購読をやめる」などといったクレームが、1週間近くで1000件を超えたこともあるということです。

集英社知的財産課の冨重実也課長は「SNSの運営側に削除要請を行い、画像を消してもらうといった対応を取っていますが、要請する前に投稿主が画像を削除するなどして、アカウントの停止や凍結を逃れることも多く、対応が追いついていない」と話しています。

そのうえで「作品がただで読まれてしまうことで、作者に正当な対価が入らない状況になっている。漫画の作品を勝手に撮影してSNSに投稿することは、著作権の侵害にあたると考えており、そうした行為はやめていただきたい。業界の仕組み自体を揺るがしかねない許しがたい行為だ」と話しています。

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