陸自ヘリ消失、深まる謎 天候良好、機体は安定―迫る72時間、10人まだ不明

東京, 4月9日, /AJMEDIA/

沖縄県の宮古島周辺で陸上自衛隊のヘリコプターが消息を絶った事故は9日、発生から3日を迎え、乗っていた10人の安否が不明のまま、生存率が急激に下がるとされる発生後72時間が迫る。墜落したとみられるUH60JAヘリは、災害派遣や急患輸送にも使われる信頼性の高い機体で、防衛省関係者は「何が原因か、想像もつかない」と表情を曇らせる。

 UH60JAは悪天候にも強く、さまざまな目的で運用される「多用途ヘリ」に分類される。事故機は6日午後4時ごろレーダーから機影が消失。当時は風速6~7メートルで、海上自衛隊のヘリパイロットは「問題なく飛べるレベル。気象の急変もなかっただろう」と話す。
 2017年に浜松市沖で4人が死亡した航空自衛隊の同型機の事故は、操縦者が機体の姿勢や高度を錯覚する「空間識失調」が原因とされたが、空自幹部は「(今回は)まずあり得ない」と指摘する。錯覚が起きやすいのは夜間や、雲や霧などで視界不良なケースで、10キロ以上の視界があり、地形を確認しながら飛行していた今回は条件に当てはまらないという。
 機体は事故10日前に定期点検を終えたばかりで、直前の飛行でも異常がなかった。二つあるエンジンは1基が故障しても飛行可能。2基同時に止まってもオートローテーションという飛行法で軟着陸できる。ただ、バラバラになった機体の破片や未使用で見つかった救命ボートからは、緊急対応もできないほどの勢いで墜落した可能性がうかがえる。
 この空自幹部は18年に佐賀県で陸自戦闘ヘリが何らかの原因によるボルト破断で主回転翼が抜け落ち、ほぼ垂直に墜落した事故を例に、「この事故のような想像もつかない異変が起きたのでは」と推測した。
 陸自などは不明者の発見に全力を尽くすとともに、原因究明の鍵を握る機体やフライトレコーダーの捜索を急いでいる。

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