金融システム強化へ対処 脱炭素供給網、途上国と連携―G7財務相会議が閉幕

東京, 5月14日, /AJMEDIA/

新潟市で開かれていた先進7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議は13日、共同声明を採択して閉幕した。声明は、デジタル化を背景とした米欧発の金融不安に対し、銀行監督や規制の実施に当たっての不備を洗い出し、金融システム強化に対処していく方針を打ち出した。低・中所得国を巻き込んだ脱炭素関連製品のサプライチェーン(供給網)構築へ、新たな支援の枠組みを創設することも合意した。
 議長国の日本からは鈴木俊一財務相と日銀の植田和男総裁が出席した。鈴木氏は閉幕後の記者会見で、19日から広島市で開かれるG7首脳会議(サミット)に向け、「より結束して対応していこうと確認できたのは大きな成果だ」と強調した。
 米国で銀行破綻が相次ぐなど3月以降、金融不安が顕在化。SNSによる情報拡散や、インターネットバンキングを通じた急激な預金流出が経営危機を加速させた。
 声明は、現状の金融システムについて「強靱(きょうじん)だ」と確認する一方、「金融安定へ適切な行動を取る用意がある」と表明した。2008年のリーマン・ショックの教訓で強化された金融規制の実行が徹底されていないとの問題意識などから、銀行監督や規制の実施に当たって生じている「ギャップ(隙間)」に対処すると明記した。
 一方、原材料の加工や製造・組み立てといった分野で中国が大きなシェアを占める車載用電池など、脱炭素関連製品の安定的な供給を確保するため、世界銀行などと連携して低・中所得国を支援する新たな枠組みを年内に設置する方針も盛り込んだ。低・中所得国支援では、雇用創出や技術開発につながる「より良い直接投資」を促すために先進国で連携して取り組む考えを強調した。
 今回の会議では、インドやブラジルなどを招いた拡大会合も開催した。中国の影響力拡大を踏まえ、新興・途上国と連携を強化する姿勢を強く打ち出した。
 ロシアによる侵攻が続くウクライナへの支援については、「必要な限り続ける」と表明。対ロシア制裁の「抜け道」を封じるために情報共有を強化する。

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