資源と国際協調、両立苦慮 対ロシア制裁で岸田政権

東京, 3月29日, /AJMEDIA/

 岸田政権は、ウクライナ侵攻を続けるロシアに対し、先進7カ国(G7)と協調して圧力を強めていく方針だ。ただ、エネルギー分野ではロシア極東サハリンに持つ原油・天然ガス権益を手放さない構え。仮に撤退すれば、電気料金や物価高騰などの形で国民生活に跳ね返る恐れがあるためで、国際協調と資源確保の両立に苦慮している。
 「サハリン1、2は、長期的な資源の引き取り権が確保された、エネルギー安全保障上極めて重要なプロジェクトだ」。松野博一官房長官は28日の記者会見で、サハリン1、2の権益を維持する考えを強調した。
 サハリン1は日本の官民出資会社が権益を持ち、サハリン2には三井物産、三菱商事が出資している。サハリン2は液化天然ガス(LNG)生産量の6割が日本向けで、長期契約が基本。これらに代わる調達先の確保は容易ではない。
 日本勢が撤退した場合、日本企業は割高な価格で調達先を確保しなければならず、原油価格高騰にあえぐ国民生活を圧迫するのは必至だ。
 政府内には、極東資源に関心を示す中国に権益を奪われかねないとの懸念もある。自民党幹部は「権益をほしい国はいくらでもある。日本はずる賢く立ち回らなければならない」と語る。
 一方、G7は24日の緊急首脳会合で、各国がエネルギーの脱「ロシア依存」に向けて追加措置を講じていく方針を確認。ロシア産原油の禁輸を決めた米国や英国と、依存度が高い欧州では現状の取り組みに温度差があるものの、今後ロシアの資金源を絶つ国際圧力は強まるとみられる。
 ウクライナのゼレンスキー大統領も日本の国会でのオンライン演説で「『侵略の津波』を止めるために、ロシアとの貿易を禁止しなければならない」と訴えた。自民党内には「損得だけで動けば間違いなくロシアに足元を見られる」(政調幹部)として、さらなる制裁を求める声もある。

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