被災地タイに初の避難モデル 日本で学んだ研究者が策定―インド洋大津波から18年

東京, 12月26日, /AJMEDIA/

22万人を超す死者・行方不明者を出した2004年12月のスマトラ沖地震・インド洋大津波から26日で18年。被災地の一つとなったタイで、初めてとなる避難シミュレーションの策定が進んでいる。研究チームは「津波発生時の人々の行動決定に役立て、被害を最小限に抑えたい」と意気込む。
 策定しているのは、2012~17年に高知工科大と東北大で地震と津波の研究に当たったマヒドン大工学部のパノン助教(35)ら。想定される津波の規模や現地の建物などの情報を基に、人の行動を予測し、被害の軽減策を模索する。ハザードマップにも活用する。
 研究チームは19年、第1弾として、プーケット島北方に位置するパンガー県カオラック地区のシミュレーション策定に着手した。タイでは大津波の死者・行方不明者が8600人を超え、このうち6000人以上がパンガー県に集中した。
 カオラック地区は観光開発が進み、大津波発生時よりホテルなどの建物や住民がいずれも約3倍に増加した。研究チームは、避難施設が十分に整備されておらず、津波が起きた場合、特に現地に不慣れな外国人客は危険だと懸念を示している。
 今年5月からは、日本人にも人気のあるプーケット島随一の繁華街パトン地区のシミュレーションを策定している。外国人客がのんびり過ごす平地のカオラック地区と異なり、職業も出身地もさまざまな人が集まる過密地区で行動予測が難しい上、地形も複雑なため、慎重に研究を進めている。
 パノン氏と共同で研究するアジア工科大学院のナタポン研究員(29)は、被害を抑えるには「住民や旅行者が事前に避難場所を知っておくことが重要」と指摘。また、「逃げ遅れた人が出た場合に備え、政府は高層の避難所を増やすべきだ」と訴えた。

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