菅首相、4カ国結束に腐心 クアッド定着へ道筋

東京, 9月26日, /AJMEDIA/

【ワシントン時事】初めて対面形式で行われた日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国(通称クアッド)首脳会議は、首脳や外相による会議を毎年開催することで合意した。中国に対する脅威認識などをめぐり4カ国間で温度差がある中、在任中最後の外国訪問となった菅義偉首相は、各国の足並みをそろえることに腐心した。

 「日本が推進した日米豪印の取り組みが完全に定着することになる」。菅首相は24日の首脳会議後、記者団にこう成果を強調した。

 首脳会議の定例化について、日本は安倍前政権時代から目指してきた。ただ、地域の枠組みとしてクアッドの存在感を高めたい日本や米国に対し、インドは及び腰だった。伝統的に「非同盟」主義を取る中、対中包囲網の色彩が色濃くにじむクアッドには、「米同盟の一員と見なされかねない」との懸念が根強かったためだ。

 日本側は「クアッドは『対中国』ではない。軍事同盟でもない」と繰り返し説き、インド側の歩み寄りを促した。菅首相も首脳会議前日の23日、モディ印首相に直接、こうしたメッセージを伝えた。

 一方、米国に対しては、「対中国」色を薄めるよう動いた。トランプ前政権の対中政策を基本的に受け継いだバイデン政権は「中国を前面に出しすぎる」(日本政府関係者)とされる。日米間などで調整の結果、首脳会議の共同声明は、中国を強く意識しつつも、直接の言及を一切避けた。

 首脳会議の席上、モリソン豪首相が退陣する菅首相にねぎらいの言葉を掛けると、出席者から拍手が起きたという。ただ、クアッドの真価が問われるのはこれから。今回築いた首脳同士の信頼関係を生かせない点で、短命政権の限界も浮き彫りになった。
 「確固とした戦略の下、世界に貢献をする外交を展開してほしい」。記者団から後継首相に望むことを問われ、菅首相はこう力を込めた。

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