芥川賞に高瀬隼子さん 直木賞は窪美澄さん

東京, 7月21日, /AJMEDIA/

 第167回芥川賞(日本文学振興会主催)の選考会が20日、東京・築地の新喜楽で開かれ、高瀬隼子さん(34)の「おいしいごはんが食べられますように」(「群像」1月号)が選ばれた。直木賞は、窪美澄さん(56)の「夜に星を放つ」(文芸春秋)に決まった。
 高瀬さんは候補2回目で受賞。作品は、職場の若く病弱な女性、芦川の言動が心に引っ掛かる同僚の男女2人の視点で進む。ありふれた恋愛模様や食事風景の描写に、芦川に反感を抱く2人の視線が絡み合い、全体に不穏な空気が満ちる。
 選考委員の川上弘美さんは「人間の中にある多面性をうまく描いている。それを実際に小説にするのは難しいこと」と、高瀬さんの力量をたたえた。
 窪さんは候補3回目で受賞。作品は、星や星座をモチーフに、人の出会いと別れを丁寧に描いた短編集。コロナ禍の中で登場人物たちは迷い、傷つきながらも、夜空を見上げて新しい一歩を踏み出そうとする。
 選考委員の林真理子さんは「日常生活の中でコロナを採り上げ、短編小説に仕上げた手腕が素晴らしかった。婚活アプリなど現代的な素材を使いながら、文章はさりげなく滑らかで、窪さんの作家としての資質に敬服した」と語った。

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