自衛隊が導入を検討する無人機、ウクライナが使ったトルコ製機種も

東京, 12月25日, /AJMEDIA/

 政府が23日に閣議決定した防衛省の2023年度当初予算案に関連し、同省は来年度に試験導入を考えている無人機の機種の一部を明らかにした。ウクライナが戦場に投入し、ロシアを苦しめたとされる攻撃型無人機などを挙げており、部隊で実証する考えだ。

 防衛省が例示した機種の一つは「バイラクタル」。トルコ製で、トルコがウクライナに送ったとされる「バイラクタルTB2」がロシアとの戦争で多用されたことで知られる。撃墜されることを織り込んで一度に多数の機体を飛ばし、上空から相手の位置情報を収集する。両翼の幅が約12メートルあり、小型の武器を積み込むことも可能だ。一部は攻撃に使っていると指摘され、ウクライナはロシアの車列を破壊したとする映像を公開したとされる。

 「ドローン戦争の幕開け」と言われる、アゼルバイジャンとアルメニアによる2020年の「ナゴルノ・カラバフ紛争」では、アゼルバイジャンも投入。アルメニアの地上戦力を破壊したとみられ、アゼルバイジャン国防省が同機からの空撮映像をソーシャル・メディアに投稿したことで世界に知れ渡った。

 防衛省が例示したもう一つは、米国の「ジェネラル・アトミクス」社製の「MQ9」。攻撃型と偵察型があるが、偵察型が念頭にあるとみられる。米軍は11月から、鹿児島県鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地で運用を始めている。

 防衛省の資料によると、米軍の機体は海洋で情報収集を進めるために運用される。1時間に333キロ飛び、航続可能な距離は8519キロ。滞空時間は32時間で、最大高度は1万5240メートルに上る。大きさは全幅20・12メートル、全長10・97メートル、全高3・81メートルで、これはB737旅客機や海上自衛隊P1哨戒機などと比べて半分程度の大きさだという。

 光学センサーや赤外線センサーといった高性能センサーにより夜間も含めて広い海域の艦艇や船舶の把握が可能で、船員の甲板上の行動も確認できるという。

 同省はすでに大型の無人偵察機「グローバルホーク」を3月から順次配備するなど運用を少しずつ始めているが、それでも「導入は遅れていると言わざるを得ない」(同省幹部)とされる。そこで、こうした既存の無人機を購入し、部隊で試した上で、有用なものについては5年以内に実際に配備する方針だ。

 自衛隊として攻撃型は初導入で、自ら相手の装甲車両に当たって自爆するものを想定しているという。ただ、攻撃型をめぐっては誤爆の危険性も指摘されており、部隊への実戦配備には偵察型以上に慎重さが求められる。

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