物価高対策、4月末に策定 参院選にらみ2段階構想―5000円給付見直しへ・岸田首相

東京, 3月30日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相は29日、ロシアのウクライナ侵攻を受けた物価高騰の影響緩和のため、4月末をめどに「総合緊急対策」を策定するよう関係閣僚に指示した。経済立て直しを2段階で進める構想を描いており、看板政策「新しい資本主義」の実行計画などを6月までに取りまとめた上で、これを具体化する「総合的な方策」を打ち出す方針を示した。
 首相は夏の参院選で、一連の対策を実績や公約としてアピールしたい考え。第1弾となる緊急対策では、ガソリン税を一時的に引き下げる「トリガー条項」の凍結解除も焦点となる。与党が提起した年金生活者への5000円支給は、根強い異論を踏まえ、白紙状態から見直される見通しだ。
 首相は閣僚懇談会で「新型コロナウイルスは第6波の出口がはっきり見えてきた」とする一方、ウクライナ危機に伴う原油や穀物の価格上昇が「社会経済活動の順調な回復の妨げ」になる可能性を指摘。自身がトップの関係閣僚会議を設置し、山際大志郎経済再生担当相を中心に「与党とも連携しながら具体的な施策の検討を進める」と表明した。
 緊急対策は(1)原油高対策(2)資源・食料安定供給(3)中小企業支援(4)生活困窮者支援―の4本柱で構成。財源は2022年度予算に計上した総額5兆5000億円の予備費を活用する。
 首相はさらに、第2弾の対策に触れ、「『成長と分配の好循環』を実現し、エネルギー分野を含む経済社会の構造変化を日本がリードする」と強調した。参院選後の補正予算編成も視野に入れる。ただ、公明党は今国会中の編成を求めており、調整に手間取る可能性もある。
 トリガー条項に関しては、与党と国民民主党が協議を進めているものの、政府は凍結解除に慎重だ。一方、5000円支給には「バラマキ」批判が絶えず、自民党の高市早苗政調会長は29日、記者団に「対象を誰にするのか全くゼロベースで党内で議論する」と述べた。

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