比の英雄像、人知れず東京都心に 30日「リサール記念日」

東京, 12月30日, /AJMEDIA/

東京都千代田区にある日比谷公園の一画にひっそりとたたずむ人物像がある。精悍(せいかん)な顔つきのあるじは、スペインからのフィリピン独立運動に影響を与えたホセ・リサール(1861~96年)。日本ではあまり知られていないが、祖国フィリピンでは処刑が行われた30日を「リサール記念日」として祝日にしており、首都マニラにある名前を冠した公園では、大統領が毎年花輪を供えるのが恒例となっている。
 リサールは、宗主国だったスペイン留学中に執筆活動を通じてフィリピンの窮状を訴え、独立運動の中心的存在となった医師兼作家。帰国すると流刑となり、4年後には反政府活動に関与したとして35歳で処刑された。死の8年前に日本を訪れた際に宿泊したホテルが日比谷公園の近くにあった縁で記念碑が建てられたという。
 碑には「フィリピンの国民的英雄ホセ・リサール博士 1888年 この地東京ホテルに滞在す」と記されている。1961年に社団法人「日本リサール協会」が建立したとあり、59~67年に東京都知事を務めた東龍太郎氏らの名前も刻まれている。胸像は98年、フィリピンのスペインからの独立100年を記念して追加されたという。
 ただ、訪れる人が多い日比谷公園の片隅にあるリサール像の存在に気付く人はほとんどいない。平日の昼下がり、学生と思われるカップルが像の前を通り過ぎても男性が一瞬視線を向けただけで、前を横切った会社員らしき男性は気にする様子さえ見せなかった。
 マニラで暮らすフィリピン人女性は「リサールはこの国を良くしようとした人物で、多くのフィリピン人から尊敬されている。日本の人にも、もっと知ってほしい」と話した。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts