日米豪印、ロシア非難見送り ウクライナ対応で温度差

東京, 3月5日, /AJMEDIA/

 日本、米国、オーストラリア、インドの4カ国(通称クアッド)首脳は3日深夜から4日未明にかけて約70分間、テレビ会議形式で会談した。ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ、4首脳は「力による一方的な現状変更をインド太平洋地域で許すことはできない」との認識を共有。ただ、首脳会談後の共同発表にロシアへの非難は盛り込まれず、4カ国間の温度差も浮き彫りになった。
 共同発表は、インド太平洋地域における将来の人道的課題に対処するため、「人道支援・災害救援メカニズム」の立ち上げを確認。岸田文雄首相は席上、「今回の侵略は国際社会の秩序の根幹を揺るがすものだ」とロシア側を批判した。
 4カ国が共同発表でロシア非難を見送ったのは、同国と伝統的な友好関係にあるインドが難色を示したためだ。国際機関のデータによると、インド軍が保有する武器の6割超をロシア製が占める。加えて、国境を接する中国の脅威に対抗するためにも、印ロ関係の悪化は避けたいのが本音だ。
 一方、国連総会での対ロ非難決議の採決を棄権したインドに、バイデン米政権は繰り返し立場を明確にするよう求めたが、今回も実らなかった。首脳会談後、サキ米大統領報道官は記者会見で4カ国協力の展望を問われたが、「建設的な会談だった」と素っ気なかった。
 4首脳は、5月にも東京で対面形式の首脳会談を開催することで一致。議長役となる首相は、覇権主義的な動きを強める中国を念頭に、4カ国の結束で指導力を発揮したい考えだが、「無理にインドを同調させれば追い込んでしまう」(自民党中堅)との懸念もあり、難しい調整を迫られそうだ。

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