救済新法、3野党「不十分」 「マインドコントロール」明記主張―今国会成立なお不透明

東京, 11月25日, /AJMEDIA/

 自民党が24日、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を受けた被害者救済新法の政府案を野党4党に説明した。野党の意見を一部取り入れ、寄付勧誘時の禁止行為を拡大するなどした内容。しかし、立憲民主、日本維新の会、共産の3党は「マインドコントロール下の寄付禁止」を明記していない点などを捉えて「不十分」との立場を崩さなかった。12月10日が会期末の今国会中の成立はなお不透明だ。
 「新法は40点だ」。立民の岡田克也幹事長は24日の与野党幹事長・書記局長会談後、記者団にこう表明。維新の藤田文武幹事長は「50点くらいのものになってしまったら(被害者に)心苦しい」と述べた。共産党の小池晃書記局長は「納得いくものではなかった」と語った。
 会談では自民党の茂木敏充幹事長が、18日に提示した概要を修正した政府案の中身を口頭で説明。4野党のうち「合格点」を付けたのは国民民主党だけだった。
 マインドコントロールに関し、政府案は寄付の勧誘に際し「霊感による知見として寄付が必要不可欠と告げ、個人を困惑させてはならない」と定めるにとどめた。「マインドコントロールは認定が困難」(茂木氏)との判断からだ。
 これに対し、3野党はマインドコントロール下にある人は自ら進んで寄付するため、「困惑」を要件とする政府案では救済できないとの立場だ。茂木氏は会談で、宗教団体側に配慮を求める規定を追加的に設けたとして賛同を促したが、岡田氏は納得しなかった。
 政府案には(1)借金(2)住居や田畑などの処分―をしてまでの寄付に歯止めをかける規定が入っている。「事実上の上限規制」との位置付けだ。だが、3野党はこれも「実効性がない」と反発する。政府案は無理な資金調達を「要求してはならない」と定めているだけで、「要求」しなければ規制を回避できるからだ。
 政府案は野党の主張を踏まえ、寄付した本人が取り消し権を行使しない場合、子どもや配偶者が養育費などを将来分も含めて代わりに請求できる規定も盛り込んでいる。民法の「債権者代位権」の特例だ。これに対しても3野党は「代位権は行使要件が厳しい」「取り戻せる額が少ない」と批判している。
 ◇維新切り崩しに活路
 政府・与党は2022年度第2次補正予算案成立後の12月5日から政府案の審議をスタートし、会期末の同10日までに成立させる日程を描く。今後も野党との実務者協議に応じ、異例のスピード審議の環境を何とか整えたい考えだ。
 自民党が狙うのが維新の切り崩し。維新は今国会で立民と共闘を進めているとはいえ、岸田政権発足前は自民党寄りとされていた。茂木氏は幹事長・書記局長会談後、藤田氏と現場で5分ほど意見交換した。維新内からは「与党の言う限界も分かる」(幹部)との声も漏れ始めている。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts