政治に不満か、動機解明急ぐ 識者「事件と主張に乖離」―首相襲撃1週間・和歌山県警

東京, 4月22日, /AJMEDIA

岸田文雄首相の選挙演説会場に爆発物が投げ込まれた事件は22日で発生から1週間。逮捕された無職木村隆二容疑者(24)=兵庫県川西市=は、事件前に起こした訴訟や自身のものとみられるツイッターで現在の選挙制度に強い不満を示していたことが明らかになった。容疑者は黙秘しており、和歌山県警は動機につながる可能性があるとみて調べを進めるが、識者は実際に起こした事件と容疑者の主張に「乖離(かいり)がある」と指摘する。
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 事件は15日午前11時半ごろ、和歌山市の雑賀崎漁港で起きた。木村容疑者が筒状の爆発物を10メートルほど離れた首相に向けて投げ込み、首相は避難して無事だったが、警察官と聴衆の男性が軽傷。木村容疑者は威力業務妨害容疑で現行犯逮捕された。
 逮捕後、木村容疑者が代理人弁護士を付けない本人訴訟で昨年6月に神戸地裁に訴訟を起こしていたことが判明した。訴状によると、自身が30歳に達しておらず供託金も用意できなかったため参院選に立候補できなかったとして、公選法の規定が憲法に違反すると国に10万円の賠償を求めている。
 裁判で提出した準備書面や、提訴に合わせて開設したとみられるツイッターアカウントでは、岸田氏が安倍晋三元首相の国葬を決定したことや、世襲政治、組織票などを繰り返し批判していた。
 新潟青陵大の碓井真史教授(社会心理学)は「表面的な動機は政府や選挙制度への不満とみられるが、爆発物を投げる行為とは乖離(かいり)があり、納得し難い」と首をひねる。「行動を起こしたものの成果を挙げられず、仲間もいない状況下で、暴力的な方法しかないと思ってしまったのではないか」と話す。
 さらに、昨年7月の安倍元首相銃撃事件が「虐げられたと感じ、追い詰められている大勢の人たちを刺激した」と推測。事件をきっかけに世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の問題に注目が集まったことで、「成功事例を見せてしまった」と指摘した。

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