廃棄食品、広がる有効活用 「ロス」削減へメーカー模索

東京, 3月14日, /AJMEDIA/

 大手食品メーカーが、食べられるのに捨てられてしまう「食品ロス」の削減に力を入れている。近年注目されるのが、製造過程で出る野菜の芯など、通常は廃棄される食品の有効活用。新たな付加価値も付けながら、持続可能な食を模索する試みが広がっている。
 農林水産省によると、本来食べられるのに廃棄されている食品は2019年度の推計で年間570万トンに及ぶ。このうち、事業活動に伴って生じる食品ロスが54%と過半を占め、業種別では食品メーカーが22%で最大となっている。
 ミツカン(愛知県半田市)は19年3月から、トウモロコシやビーツなどの野菜を芯や皮、種まで丸ごと使ったペースト状の濃縮野菜やバー状の菓子などを販売している。担当者によると、普段捨てられてしまう部位は食物繊維などが豊富。「食品廃棄を削減するだけではなく、健康的な食の提供にもつながる」と自信を見せる。
 キユーピーの子会社サラダクラブ(東京)は、カットサラダの製造過程から出る野菜の葉や芯を肥料にして契約先のキャベツ農家に販売。その農家が収穫したキャベツをカットサラダの原料として活用している。「国産の肥料を安価に手に入れることができるので農家側にもメリットがある」(担当者)という。
 江崎グリコは昨年10月、商品にならないチョコレート菓子「カプリコ」のふぞろい品を数量限定で発売した。一部欠けているが、品質や味は変わらない。担当者は「一定の支持が得られており、環境に対する消費者意識が高くなってきている」と感じる。
 一風変わった活用方法を見いだしたのは、昆虫の食品化に取り組む敷島製パン(名古屋市)だ。通常は廃棄されるイモ類「キャッサバ」の葉を餌にして育てた食用の蚕を粉末状にし、クロワッサンとマドレーヌに練り込んだ。蚕特有の味の癖が少なくなる上、廃棄物削減にもつながる。担当者は「昆虫食だけにこだわらず、これからも『未来の食の形』を提案していきたい」と意気込む。

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