岸田首相 中小企業賃上げを後押しする考えを政労使会議で示す

東京, 03月14日 /AJMEDIA/

政府、経済界、労働界の3者による「政労使会議」が開かれ、岸田総理大臣は、中小企業などにも賃上げの流れを広げることが重要だとして、それを後押しする環境整備に全力を尽くしていく考えを示しました。

会議には、岸田総理大臣のほか、経済界から経団連の十倉会長らが、労働界からは連合の芳野会長らが出席しました。

この中で岸田総理大臣は、13日の春闘の集中回答日に大手企業で高い水準の回答が相次いでいることに触れ、「去年を上回る力強い賃上げの流れができていることを心強く思う」と述べました。

そのうえで、「中小・小規模企業の十分な賃上げによって、すそ野の広い賃上げを実現することが大切であり、あらゆる手を尽くしていく」と強調しました。

具体策として、中小企業が賃上げの原資を確保できる環境整備が重要だとして、大企業などが下請けに不当に安い取引価格などを要求する行為に、厳正に対処していくと説明しました。

また、人件費にあたる「労務費」が適正に価格に転嫁されているか、公正取引委員会の調査を実施し、不十分なところは3月中に企業名を公表する方針も明らかにしました。

さらに、2030年代半ばまでに最低賃金を1500円に引き上げる目標の前倒しを図る考えも示し、物価上昇を上回る持続的な賃上げの実現に向けた官民の連携を呼びかけました。

経団連 十倉会長「さい先のよいスタート」
政労使会議の後、経団連の十倉会長は記者団に対し「さい先のよいスタートが切れて賃金引き上げの勢いは昨年以上に起こっていることは事実だと思うので、これを中小企業や残りの大企業に持ち込まないといけない。特に中小企業の賃上げが実現しないとダメで、気を緩めないでやっていこうという話だった」と述べました。

また、13日集中回答日を迎えたことしの春闘では去年より高い水準の賃上げで決着する動きが出ていることについて「非常に心強く思っている。去年を上回ることはほぼ確実になったと思うので、どこまで上積みできるか非常に楽しみにしている」と述べました。

日商 小林会頭「中小や非正規含め底上げを」
政労使会議の後、日本商工会議所の小林会頭は、記者団に対し「大手は非常に賃金引き上げの勢いがよく、高い水準で決まりつつあるが、中小企業や非正規雇用などもすべて含めて底上げをしていかないと経済の好循環にはならない」と述べました。

そのうえで、中小企業の間でも平均では以前より高い賃上げ率が実現するのではないかという見方を示したうえで、「人手不足の状況は変わらないので、あらゆる手を使って中小企業の労働者の家庭を潤していくことに集中することが、ことし後半から来年のカギになると思う」と述べました。

連合 芳野会長「これからが勝負どころ」
連合の芳野会長は記者団に対し「今のところ、かなり昨年を上回る成果が出ている。中小・小規模事業所や、地方、非正規労働者の賃金をどれだけ底上げできるかがことしのカギで、これからが勝負どころなので、気を引き締めて大手企業に続くいい結果が出るよう対応していきたい」と述べました。

また、中小企業が賃上げの原資を確保できるよう環境整備を進める方針が政府から示されたことについて「なかなか労務費を含めた価格転嫁ができないという声を多く聞いている。フェアに受注や発注ができることが望ましく、時として厳しい対応も必要だ」と評価しました。

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