岸田首相、「ウィズコロナ」踏み込めず 感染収束見えず、政府に慎重論

東京, 8月25日, /AJMEDIA/

 岸田文雄首相は24日、新型コロナウイルス感染者の「全数把握」見直しなど、感染抑制と社会経済活動の両立を図る「ウィズコロナ」に向けた新たな方針を発表した。ただ、全数把握見直しの判断は各都道府県に委ね、入国者の上限を1日5万人に引き上げる水際対策の緩和は見送るなど、中途半端さが否めない内容。収束が見えない「第7波」への警戒から、首相としても十分踏み込めなかった。
 首相は社会経済活動との両立へ「徐々に歩みを進める」と述べてきた。新方針表明に先立つ22日には、水際対策の緩和を含む「ウィズコロナ」への移行について、「早急に方向性を示したい」と表明。全数把握は自治体から、水際対策は経済界から見直しを求める声が相次いでいた。
 だが、24日に首相が発表した対策は、若者ら重症化リスクの低い人を全数把握から免除できる地域について、医療逼迫(ひっぱく)などで自ら申し出た都道府県に限定。水際対策緩和でも、入国者上限を1日2万人から5万人に引き上げる案は見送られた。コロナの1日当たりの死者数が23日に過去最多を更新するなど、第7波の出口は一向に見えず、大幅な見直しに政府内に慎重論が広がったためだ。
 今回の発表には唐突感もあった。全数把握など感染症法上の「2類相当」で求められる項目の見直しについて、首相は「(第7波が続く)このタイミングで見直すことは考えていない」と繰り返していた。世界平和統一家庭連合(旧統一教会)をめぐる問題が要因となって報道各社の内閣支持率は急落。首相としては「平時への移行」で目先を変える思惑もあったとみられる。
 発表内容の打ち出し方も二転三転した。「内容が小ぶり」(政府関係者)だとして、発表を加藤勝信厚生労働相に委ねる案や、来週に先送りする案も一時浮上していた。
 一方、全数把握見直しへの自治体の評価は割れた。全国知事会は「英断を評価する」とのコメントを発表。ただ、大阪市の松井一郎市長は「国が決めて全国一律の制度にすべきだ」と注文を付けた。

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