家庭光熱費、4.5万円支援 巨費投入、長期化の恐れも―経済対策・ニュースQ&A

東京, 11月1日, /AJMEDIA/

 政府は10月28日に総合経済対策を閣議決定し、電気・ガス料金の負担軽減に乗り出した。ガソリン補助金の期限延長と合わせ、来年1月から9月にかけて、総額6兆円を投入。標準的な家庭で計4万5000円(月5000円)程度の負担緩和につながる見通しだ。ただ、燃料費高騰や円安が収まる兆しはなく「出口」が見えない中、巨額の財政資金を投じる負担軽減策は長期化する恐れがある。
 ―電気代への支援とは。
 電気料金は今年5月までの1年間で家庭用が約2割、企業用は約3割それぞれ上昇。来年春以降、さらに2~3割の値上げが見込まれるため、政府は来年1月から家計・企業への直接的な支援に踏み切る。家庭向けには1キロワット時当たり7円を支援。1カ月の電気使用量が400キロワット時の標準家庭では、月2800円程度の軽減になる。高圧契約を結ぶ企業には1キロワット時当たり3.5円を補助する。
 ―ガス代も下げるのか。
 都市ガス料金は、東京ガスの今年12月分の標準家庭で6750円となる見込みで、前年同月から35%上昇する。このため、家庭と年間契約量1000立方メートル未満の企業に対し、1立方メートル当たり30円を補助。標準家庭で月900円程度を軽減する。地方で利用の多いLPガス(プロパンガス)については小売業者への事業効率化支援を通じ、価格抑制を目指す。
 ―家庭にはどう支援が届くのか。
 電気・都市ガスの小売業者が値下げした分を政府が補助金で補填(ほてん)する仕組みだ。電気代の場合、燃料高騰分を転嫁している「燃料費調整額」に値下げ分を反映させる方針だ。
 ―いつまで続けるのか。
 財政資金を投じてエネルギー価格を抑える施策は、家計・企業の省エネへの取り組みの足を引っ張って脱炭素化に逆行しかねない。このため、政府は電気・ガス代への軽減を「来年9月に縮小する」との方針を示した。しかし、今年1月に始まったガソリン補助金は延長・拡充が繰り返され、来年1月以降も続けることが決まった。第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストは「緊急避難的な対策はきちんと出口を決めておかないと終わるに終われなくなる」として、ガソリン補助金の二の舞いを踏むことを懸念している。

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