国連改革の機運醸成狙う ウクライナ危機で提起―岸田首相

東京, 3月15日, /AJMEDIA/

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、岸田文雄首相は14日の参院予算委員会で国連改革に意欲を示した。国連安全保障理事会が拒否権を持つロシアへの非難決議を採択できないなど「機能不全」が露呈しているからで、首相は常任理事国の拒否権行使の抑制などに関する議論を進めたい考え。ただ、国連憲章の改正は制約が多い上、各国の利害も絡むため実現は容易ではない。
 首相は予算委で「ロシアの暴挙は新たな国際秩序の枠組みの必要性を示している」と述べ、常任理事国自らの侵略行為に国連が対応できない今の仕組みを問題視。「常任理事国による拒否権の行使は最大限自制されるべきだ」とも指摘した。
 日本はかねて常任理事国入りを目指しており、ドイツ、ブラジル、インドとの4カ国グループ(G4)で連携強化を図っていた。首相も外相在任中にG4外相会合に出席したり、国連加盟各国の支持獲得に動いたりした経緯がある。14日の答弁では「私も外相時代、国連改革を重視して取り組んできた」と思い入れの強さを強調した。
 拒否権をめぐり、伝統的に行使に慎重なフランスは、2015年にメキシコと「大規模な残虐行為の場合は抑制すべきだ」と各国に呼び掛けた。日本を含め105カ国が支持を表明したが、フランス以外の常任理事国は賛同しなかった。米国はイスラエル関連、中国は人権問題でそれぞれ拒否権を使うことがある。
 常任理事国メンバーや拒否権を規定する国連憲章の改正には、常任理事国5カ国を含む国連加盟国の3分の2の批准が必要。今後、首相は首脳外交などを通じて機運を醸成したい考えだが、外務省幹部は「新しいアプローチがあるわけではない」と述べ、ハードルの高さを認めた。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts