参院山形、岸田首相の判断焦点 不戦敗論、麻生氏の影―自民

東京, 4月17日, /AJMEDIA

 自民党は参院選山形選挙区(改選数1)の候補擁立の是非をめぐり、意見が割れたままだ。山形が地盤の遠藤利明選対委員長は、野党分断を狙う麻生太郎副総裁らの意向も踏まえ、与党に接近する国民民主党現職への対抗馬擁立を見送る方向で動く。異例の「不戦敗」志向に党内と地元の反発は収まらず、岸田文雄首相(党総裁)の判断が焦点になりそうだ。
 首相は16日、党山形県連が開いた政治資金パーティーに視察先の新潟県三条市からオンラインで参加。擁立の是非には触れず、「地元の声を受け止め、党としても努力を続けたい。政治の安定のために協力をお願いする」と述べた。
 県連会長を兼ねる遠藤氏はあいさつで、出席者を前に「安定した政権運営のためにどういう選挙戦の形を作るか。いろいろな批判も踏まえて判断する」と述べ、党本部の調整に理解を求めた。
 分刻みの視察の合間を縫って首相がオンラインで参加したのは、遠藤氏の依頼によるものだ。参院選に向けたパーティーという節目で首相との連携を地元にアピールし、調整を進めやすくしたいとの思惑が透ける。
 ただ、首相は「あまり乗り気ではなかった」(周辺)という。野党分断路線とあくまで候補を立てるべきだとする主戦論の板挟みになりかねないためだ。
 野党分断路線は、麻生氏が茂木敏充幹事長と共に国民の取り込みを図ることで主導。立憲民主党と国民を支援する連合との距離も縮め、先月には芳野友子会長と会食した。
 麻生氏としては山形での「不戦敗」などで配慮すれば、国民を支援する民間労組の応援を各地で受けられる可能性が高いと踏んでいる。「今までと対応が違ってくる」。麻生氏はこう自信を見せているという。遠藤氏も実力者の麻生氏の戦略を無視しにくい。
 一方、12日の党総務会で不戦敗論への反発が噴出したのに続き、14日には森山派の森山裕会長が「候補を立てないのは異常だ」と厳しく非難。非主流派の二階派幹部は「森山氏とは頻繁にやりとりしている」と明かす。山形でも16日のパーティー後、県連幹部は「変わらず擁立を求めていく」と引き下がらない構えだ。
 党内の一部では「遠藤氏は麻生、茂木両氏に言われている面もある」(参院幹部)との見方も出ている。党執行部が拙速に結論を出せば党内の亀裂が拡大し、選挙戦全体に影響しかねない。首相は党内の風向きを慎重に見極めながら判断するとみられる。

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