元患者に寄り添い後押し 医院勤務の心理士、院長妹も―大阪ビル放火3カ月

東京, 3月18日, /AJMEDIA/

 大阪市北区の心療内科クリニックで院長ら26人が犠牲になった放火殺人事件では、勤務していた臨床心理士や院長の妹が、突然心のよりどころを失った元患者らの支援を始めた。事件発生から17日で3カ月。元患者に寄り添って気持ちに区切りをつける手助けをしたり、話を聞いて悩みを共有したりすることで、先に進めるよう後押ししている。
 現場となった「西梅田こころとからだのクリニック」で臨床心理士などとして働いていた浜内彩乃さんは1月下旬、ツイッターを利用して事件に巻き込まれなかった元患者と担当カウンセラーをつなぐ窓口を開いた。
 事件では現場にいた患者やカウンセラーが亡くなっただけでなく、元患者らのカウンセリングも突然中断された。事件後、ツイッター上で担当カウンセラーの安否を気遣う書き込みなどを目にした浜内さんは、「心の整理がつかないでいる患者がいるかもしれない」と橋渡しを決意。院長の遺族にも了解を得た。
 これまでに元患者から約20件の問い合わせが寄せられ、中には犠牲になったカウンセラーへの感謝のメッセージなどもあった。浜内さんの仲介で、カウンセラーが元患者に直接返信したケースもあったといい、浜内さんは「気持ちの整理をつけて、先に進む手助けになれば」と話す。
 今月1日には元患者らが交流できるオンラインサロンが開設された。「自分と同じように苦しんでいる人の話を聞いて寄り添いたい」と、事件で犠牲となった西沢弘太郎院長(49)の妹も運営側に名を連ねた。
 4日に行われたオンライン交流会で、妹はクリニックに通っていた容疑者の男=死亡=について触れ、「兄は恐らく容疑者を助けられなかったことも悔やんでいると思う」と声を震わせた。
 妹は「(元患者らの)手助けができれば」との強い思いを明かした上で、「障害や病気に関係なく、多くの人が悩みを抱えているという現状がある。みんなが助け合って生きられる社会をつくっていけるはずだ」と力を込めた。

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