モディ印首相、異例の謝罪 農民反発で改正法撤廃

東京, 11月27日, /AJMEDIA/

インドのモディ首相が、「肝煎り」だった農作物の売買自由化につながる改正農業関連法について、撤廃する意向を表明し、異例の謝罪に追い込まれた。改正法に反対する農民のデモが長期化し、混乱を招いていた。2022年には農業が盛んな主要州の議会選が予定されており、影響を懸念し方針を転換したとみられている。
 モディ氏は今月19日、国民向けのテレビ演説で、昨年9月に施行された改正法の撤廃を表明。「私たちの努力に、農民を納得させられないような何らかの不備があったに違いない。国民に謝罪する」と述べた。
 モディ氏は14年の首相就任後、高い支持率を背景に新自由主義的な経済政策を進めてきた。16年には汚職・不正蓄財対策で突如、高額紙幣廃止を断行。一時は経済の混乱を招いたものの、19年の総選挙では与党インド人民党(BJP)を圧勝に導くなど国民の評価を得てきた。
 しかし、改正農業関連法をめぐっては、昨年11月ごろから、取引自由化に伴う大企業の買いたたきを懸念し、北部パンジャブ州の農民を中心とするデモが断続的に続いている。今年1月には首都ニューデリーで警官隊との大規模な衝突に発展。野党やパンジャブ州に多いシーク教徒の独立派も運動を後押ししているとみられ、問題が複雑化した。
 いずれも北部で農業が盛んなパンジャブ州、人口2億人超の最大州ウッタルプラデシュ州では22年に州議会選が実施予定。ともにBJPの苦戦が伝えられている。
 モディ政権は、1日当たり最大40万人超の新規感染者を出した今年3~5月の新型コロナウイルス感染「第2波」の対応をめぐり支持率が急落。ロイター通信は5月中旬、調査会社CVOTERの調査結果として、モディ氏の就任後初めて、政権に「不満」とする回答が「満足」を上回ったと報じた。改正法撤廃は、混乱でこれ以上支持を失いたくない政権の苦渋の決断と言えそうだ。

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