ミサイル迎撃の現実味 北朝鮮ICBM発射―米国向けも法的可能・防衛省

東京, 3月26日, /AJMEDIA/

 北朝鮮が発射した米全土を射程に入れる可能性がある大陸間弾道ミサイル(ICBM)は北海道西方約150キロに落下した。北朝鮮の挑発がさらにエスカレートし、日本の領域への脅威が増せば自衛隊が迎撃するシナリオが現実味を帯びる。
 安全保障関連法により、集団的自衛権を行使して米本土に向かうミサイルを日本が迎撃することも法的には可能だ。
 「米が許容しない一線を越え、局面が変わった」。防衛省幹部は高度6000キロを超えた24日のミサイル発射をこう表現した。同省によると、落下地点はこれまでの発射で日本に最も近いという。
 高角度で打ち上げるロフテッド軌道だったが、最も効率的な飛行ができる通常の角度で発射すれば、米東海岸の首都ワシントンに到達する可能性もあった。
 米軍衛星がミサイル発射を探知すると、防衛省に発射方向、弾数、落下予想地域・時刻などの早期警戒情報がもたらされる。日本の領海・領土に落下する場合には、イージス艦が洋上で迎撃。撃ち漏らした場合には地上配備の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)が対処する。
 日本の領域に落下する恐れがある場合に迎撃できる法的根拠は大きく二つある。一つは武力攻撃事態と認定され、自衛権を行使する場合。もう一つは弾道ミサイルや「人工衛星」と称した発射実験で、日本に飛来する事態に備え、防衛大臣が破壊措置命令を出す場合だ。今回のケースは破壊措置命令が該当する。
 一方、安保法は自衛隊の武力行使の要件に「存立危機事態」を新設し、限定的な集団的自衛権行使を可能にした。
 安保法審議の中で政府は、日本上空を越えて米領域に向かうミサイルを撃墜することも「可能になる場合もあり得る」と答弁した。防衛省は現在もこの解釈を踏まえ「法律上の要件を満たす限りにおいて排除されない」としている。
 関係者によると、日米が共同開発した新型迎撃ミサイル「SM3ブロック2A」の迎撃高度は従来型の2倍の1000キロ以上とされ、守備範囲は広がった。米国は新型SM3でICBM迎撃実験に成功している。政府筋は「米から迎撃を要請されれば、断れないだろう」とも話す。
 防衛省は新型SM3を今年中に取得し、横須賀(神奈川県)、佐世保(長崎県)両基地のイージス艦に搭載する見通しだ。

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