キーウ未訪問、G7で岸田首相のみ サミット控え、財政支援で「姿勢」

東京, 2月22日, /AJMEDIA/

 バイデン米大統領がウクライナの首都キーウ(キエフ)を訪れたことで、先進7カ国(G7)の首脳の中で訪問を実現できていないのは日本のみとなった。5月に広島市で開催するG7首脳会議(サミット)を控え、岸田文雄首相はウクライナ支援で指導力を発揮したい考え。ゼレンスキー大統領からの招待を受け、首相は検討を進めるが安全確保などハードルは高い。
 松野博一官房長官は21日の記者会見で、バイデン氏の電撃訪問について、「ウクライナへの連帯を示す動きで敬意を表する」と歓迎した。ただ、首相のキーウ入りは「諸般の事情も踏まえながら検討を行っている。現時点では何も決まっていない」と述べるにとどめた。
 サミットで首相は議長を務めることから、現地で自らウクライナの現状を把握することは重要との意見もある。外務省幹部は「首相のウクライナ訪問への思いは強い」と語る。
 ただ、首相が外国を訪問する場合、国会開会中は国会による事前の承認が必要となる。首相の動静は原則、報道各社に公表され、バイデン氏のように安全面に配慮した「隠密行動」は容易ではない。官邸幹部は「検討を続けているが、バイデン氏と同様の形は難しい」と指摘する。
 政府内からは「ウクライナを訪れていない首脳が首相のみという中、G7サミットを迎えるのは避けたい」(外務省幹部)との焦りの声も漏れる。さらに、欧米各国が最新鋭戦車の供与など軍事支援を強化する中、日本は武器供与に制約があり、できる支援は限られている。
 このため、議長国としてのリーダーシップをアピールするかのように、首相はウクライナ侵攻1年となる24日に、ゼレンスキー氏を招き、G7首脳によるテレビ会議の開催を表明。生活支援やインフラ復旧のため、新たに55億ドル(約7300億円)の財政支援を打ち出した。

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