インド太平洋の「現状変更」に危機感 岸田首相訪欧、強行日程で対中連携提起

東京, 3月25日, /AJMEDIA/

岸田文雄首相は24日、先進7カ国(G7)首脳会合に出席するため、ベルギーを訪問した。国会開会中に0泊3日の強行日程を組んだ背景には、ウクライナ危機に対する自由主義陣営の連携を確認するとともに、インド太平洋地域で「力による現状変更」を試みる中国など、アジアの安全保障について問題提起する狙いがある。アジア唯一のG7メンバーとして、存在感をアピールした格好だ。
 首相は席上、対ロシア制裁について「抜け穴を埋めて外交的、経済的圧力を一層強める」と表明。ウクライナ国内外で避難民が急増している現状を踏まえ、人道支援に1億ドル(約120億円)を追加拠出する方針を説明した。
 24日に新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射した北朝鮮も取り上げ、「深刻な脅威」と非難。G7の連携を呼び掛けた。
 首脳会合に先立ち、首相はインドとカンボジアを訪問した。インドはロシアと伝統的な友好関係にあり、カンボジアは中国との接近が指摘される。外務省幹部は「G7ではアジアとの架け橋役を期待されている」と強調。ウクライナ危機に関する両国との協議内容を、G7の議論に反映させるよう働き掛けた。
 ロシアの軍事侵攻をめぐり、首相は「欧州の安全保障にとどまらない」と繰り返し主張。首脳会合でも、東・南シナ海への強引な進出を図る中国に対する危機意識の共有を目指した。中国がロシアの軍事、経済援助に動くとの懸念も浮上する中、日本は「このままだと中ロの接近を止めることはできない」(外務省幹部)と訴え、欧米各国と認識を擦り合わせた。
 日本側はこれまで、インド太平洋地域の安定に向け、G7の関与を引き出す戦略を描いてきた。しかし、欧州側はロシア対応に集中せざるを得ず、政府内からは「自由主義陣営が中国に専念できる状況ではなくなった」(関係者)と結束の乱れを危惧する声も漏れる。

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