「涙あふれ、言葉出ない」 逆転勝訴に原告男性―強制不妊

東京, 3月12日, /AJMEDIA/

 「長い道のりをやっとここまでたどり着いた。涙があふれて言葉が出ない」。旧優生保護法に基づく強制不妊訴訟の控訴審判決で逆転勝訴した原告の男性(78)は11日、東京都内で記者会見し、喜びをかみしめた。
 男性は教護院(現在の児童自立支援施設)に入所していた1957年、仙台市の病院で手術を強制された。会見で男性は「本当につらかった。悲しかった」と振り返り、「このような判決がもらえるなんて、夢にも思わなかった。感無量です」と目頭を押さえた。
 逆転勝訴は両親の墓前に報告するという。当初は親に手術を強制されたと考えていたが、「私を苦しめていたのは、おやじじゃなく国なんだと誤解が解けた」と語気を強めた。
 法廷では裁判長が判決後、「決して手術で人としての価値が低くなったわけではない。幸せに過ごしてもらいたい」と話し掛けた。男性は「向き合ってくれたことが本当にうれしい。一日も早く解決して、残りの人生を幸せに暮らしていきたい」と語った。
 東京高裁判決は、2019年の救済法施行から5年は被害者が損害賠償請求訴訟を起こすことが可能とした。原告代理人の関哉直人弁護士は「全ての被害者が請求可能になる。裁判所が道筋をつけてくれた」と意義を強調。認められた1500万円という賠償額についても、「今後の(救済)法改正に大きな力になるのでは」と指摘した。
 全国優生保護法被害弁護団の新里宏二共同代表は「大阪の判決が被害救済の風穴を開け、東京の判決が大きく広げた」と評価。その上で「法ができて74年目で、やっと司法が被害に向き合った。全体解決のため、国会や政府を動かしていく」と訴えた。

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