「平和の番人」機能不全露呈 会合10回以上も決議採択できず―国連安保理

東京, 3月23日, /AJMEDIA/

 ロシアによるウクライナ侵攻は、世界の「平和の番人」を託された国連安全保障理事会(15カ国)の深刻な機能不全を露呈した。国連で唯一、法的拘束力のある制裁などの強制措置を決定できる機関だが、侵攻の当事国が拒否権を持つ常任理事国という事態に、有効な手だてを打ち出せずにいる。
 安保理は1月末からこれまで、ウクライナ情勢をめぐる緊急会合を10回以上開催。しかし、米国などが主導した非難決議案はロシアの拒否権行使で否決され、人道に関する決議案の採択を目指したフランスとメキシコも、安保理での協議は断念し、拒否権のない国連総会に持ち込むことを余儀なくされた。
 2月23日の会合では、議長国として取り仕切るロシアが、各国が思いとどまるよう演説する中、軍事作戦開始を表明。国連憲章で「国際平和と安全維持の主要な責任を負う」と定められた安保理の欠陥を印象付けた。
 さらに、ロシアは自らの主張を宣伝する目的で安保理会合を利用。今月に入り「ウクライナでの米国の生物兵器開発問題」を議題に、公開会合を2度要請した。米英仏など理事国6カ国は共同声明を出し「安保理の悪用だ」と批判した。
 こうした中で、安保理の改革を求める声が加盟国から多く上がっている。岸田文雄首相も今月14日、「常任理事国による拒否権の行使は最大限自制されるべきだ」として「改革への努力を続けていきたい」と強調。常任理事国の反対などが予想され「簡単ではない」(外交筋)道のりだが、近年停滞している改革議論の活性化が期待される。

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