「不快にさせた」岸田首相謝罪 前秘書官の差別発言―法整備慎重、野党攻勢

東京, 2月7日, /AJMEDIA/

 政府は6日、性的少数者(LGBTなど)を巡る荒井勝喜前首相秘書官の差別発言を受け、事態の収拾に追われた。岸田文雄首相は「不快な思いをさせてしまった方々におわびを申し上げる」と陳謝。松野博一官房長官は当事者から意見を聞く機会を速やかに設ける考えを表明した。ただ、政府は関連する法整備になお慎重で、立憲民主党などは厳しく追及する方針だ。
 首相は政府・与党連絡会議の席上、荒井氏の更迭を報告し、「国民に誤解を生じさせたことは遺憾だ」と述べた。3日夜に発言が明らかになって以降、首相が謝罪の言葉を口にしたのはこれが初めてだ。
 松野氏は記者会見で、同性婚の法制化について「当事者の話を聞くことは重要だ。できるだけ速やかに場を設けたい」と述べた。
 これに対し、野党は「単なる役人の不祥事以上に深刻だ」(立民の安住淳国対委員長)と攻勢を強めた。6日の衆院予算委員会では、質疑に入る前に松野氏の説明と謝罪を要求。与党が拒否すると、日本維新の会や国民民主党も含む各党が、抗議のため退席した。最終的に松野氏が要求を受け入れたことで、ようやく審議に復帰した。
 松野氏は予算委で、他の首相秘書官も同様の考えだとの荒井氏の説明に対し、「全く根拠のないものだ」と釈明。「(筆頭格の)嶋田隆秘書官が週末、全秘書官に政府の基本方針に従う考えに変わりがないことを確認した」と明かし、多様性を尊重する包摂的社会を目指すと強調した。
 もっとも、関連する法整備を巡り、政権側の動きは鈍い。松野氏は予算委で、同性婚の法制化について「極めて慎重な検討を要する」と慎重姿勢に終始。2年近くたなざらしになっている超党派のLGBT理解増進法案についても「政府としては動きを注視する」と述べるにとどめた。
 一方、荒井氏の発言を契機に、公明党は理解増進法案の成立に向け、圧力を強めている。山口那津男代表は6日、記者団に「自民党がしっかり姿勢を整えることが大事だ。法案の合意形成を図ることが求められる」と主張。自民党の茂木敏充幹事長は記者会見で「引き続き提出に向けた準備を進めていきたい」と応ぜざるを得なかった。

Follow us on social

Facebook Twitter Youtube

Related Posts