防衛白書、中朝ロの動向特集 台湾情勢に警鐘―防衛力の意義強調

東京, 7月29日, /AJMEDIA/

防衛省は28日、2023年版防衛白書を公表した。中国、北朝鮮、ロシアの軍事動向を特集し、昨年策定した安全保障関連3文書に基づく防衛力強化の必要性を強調。台湾の武力統一を排除しない中国・習近平政権の姿勢を踏まえ、台湾海峡情勢は「急速に懸念が高まっている」と警鐘を鳴らした。
反撃能力、白書も不明瞭 憲法許容範囲どこまで―防衛省

 浜田靖一防衛相は巻頭言で「国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しつつある」と指摘。5年間で43兆円の防衛費を確保するための国民負担を念頭に「防衛の取り組みは、国民の理解と協力が最も重要だ」と記した。
 巻頭特集「激変する時代」では、最近10年間の安保環境の変化を解説した。中国が海上・航空戦力など「軍事力を広範かつ急速に強化」しているとし、北朝鮮の「わが国を攻撃する能力保有」やロシアの「北方領土への新型装備配備」に言及した。各国の国防費や核弾頭数の伸びをグラフや写真で示した。
 「ウクライナ侵略」の章では、ロシアによる侵攻の「教訓」として「他国の侵略を招かないためには自らが果たし得る役割の拡大が重要だ」と指摘。相手の能力に応じた防衛力の構築と、同盟国・同志国との連携深化を主張した。
 不透明な軍拡を重ねる中国の姿勢を「深刻な懸念事項」とし、米中対立について「政治・経済・軍事にわたる競争が一層顕在化してきている」と総括。昨年8月のペロシ米下院議長(当時)による台湾訪問を受けた軍事演習は「台湾侵攻作戦の一部が演練(訓練)された可能性がある」と分析した。
 北朝鮮の核・ミサイル開発に関し、弾道ミサイルに加えて「核兵器の搭載が可能な長距離巡航ミサイルの実用化を追求している」として核戦力の多様化に警戒感を示した。軍事挑発がエスカレートする恐れがあるとし、「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威だ」と断じた。
 日本の備えにも紙面を割いた。第2部の「わが国の安全保障・防衛政策」のページ数を前年版から7割増やし、新たな国家安全保障戦略と国家防衛戦略、防衛力整備計画の3文書を紹介。初めて明記した反撃能力(敵基地攻撃能力)の解説記事も付けた。

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