規制委 敦賀原発2号機の審査 再び中断方針 日本原電は受け入れ

東京, 4月12日, /AJMEDIA/

原子力規制委員会は、福井県にある敦賀原子力発電所2号機の審査で、提出された資料に相次いで誤りが見つかっているとして、事業者の日本原子力発電に対し、審査を中断する方針を伝え、日本原電はこれを受け入れました。規制委員会は、ことし8月までに申請内容を修正するよう求めていて、山中伸介委員長は「これが最後のつもりで臨んでほしい」と述べました。

敦賀原発2号機をめぐっては、原子力規制委員会の専門家会合で原子炉の真下を走る断層が「将来動く可能性がある」と指摘されていますが、事業者の日本原電は再稼働に必要な審査の中で動く可能性はないと反論しています。

しかし、日本原電が提出した断層のデータなどの資料に書き換えや誤りが相次いで見つかったため審査はおよそ2年間中断し、去年12月に再開したあとも誤りが相次いだことから、原子力規制委員会は今月5日、再び審査を中断する方針を決めました。

原子力規制委員会は11日、日本原電の村松衛社長を呼び、この方針を伝えたうえで、ことし8月末までに断層に関する申請内容を修正し提出するよう求めました。

これに対し、村松社長は「業務の流れを見直したにもかかわらず、新たに資料に誤りが確認されたことを重く受け止めている。社長としてリーダーシップを発揮し、申請書の品質確保に取り組む覚悟だ」と述べ、審査の中断を受け入れる意向を示しました。

規制委員会の山中伸介委員長は「これが最後のつもりで臨んでほしい。本質的な審査ができる資料を提出してもらいたい」と述べ、厳しい姿勢で臨む考えを伝えました。
日本原電 村松社長「審査書類の作成 社内体制を強化」
日本原子力発電の村松衛社長は、面談のあと報道陣に対し、「敦賀原発2号機の再稼働は重要な経営課題であり、今回、審査資料に誤りが確認されていることを大変重く受け止めている。ほかの電力会社などの力を借りて、審査書類の作成について社内体制を強化したい」と述べました。
日本原電の現状
日本原子力発電は、国内に商業用の原子力発電所を導入するため、1957年に民間の大手電力各社が主導する形で設立されました。

経営の特徴は電気の小売りは行わず、原発で発電した電気を各社に卸す“発電専業”であることです。

ただ、12年前の東京電力・福島第一原子力発電所の事故のあと、保有するすべての原発が停止。

日本原電は茨城県の東海第二原発と福井県の敦賀原発2号機の2基の再稼働を目指していますが、敦賀原発2号機では、今回、再度の審査中断が決まり、東海第二原発も、自治体がつくる事故の際の避難計画の策定が難航するなどしていて、再稼働の具体的な見通しはたっていません。

発電できず電気を販売できない中、日本原電は東京電力や関西電力、中部電力など販売先となる大手5社から、保有する原発の維持・管理費用として「基本料金」を受け取って収入の柱としていて、2021年度はおよそ900億円を得たということです。

エネルギー価格の高騰で電力各社の経営環境は厳しくなっていて、再稼働できないまま「基本料金」を受け取り続ける日本原電には、一層、厳しい目が注がれることになります。

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