結論拙速、米と歩調合わす 領空侵犯の武器使用緩和―防衛省

東京, 2月17日, /AJMEDIA/

 中国の「偵察気球」を撃墜した米国の対応に合わせるかのように、防衛省が気球を含めた無人機による領空侵犯への武器使用基準の緩和に動いた。対領空侵犯の武器使用は、閣議決定や国会承認手続きの必要はない。しかし、無人機とはいえ相手を撃墜すれば外交に重大な影響を与え、運用を誤れば武力紛争にも発展しかねない。緩和の結論を出すのはあまりに拙速な面は否めない。
 防衛省が新たに示した自衛隊法84条に基づく対領空侵犯措置の武器使用の緩和は、無人気球などを放置すれば他の航空機の安全な飛行を阻害する可能性があることなどを前提にしている。
 しかし、現行の武器使用の要件である刑法の正当防衛や緊急避難でも、解釈次第で対応が可能ではないかとの見方も自衛隊内にある。同省は具体的にどういう事例が緩和した基準を満たすかは「相手に手の内を見せることになる」として公表しない方針だ。撃墜する場合には上昇能力に優れた空自のF15戦闘機の使用が想定されている。
 日本領空では2019年に不審な気球の飛来が確認された。南西諸島周辺では中国の無人機の飛行が常態化し、航空路の安全面で懸念があるのは事実だ。しかし、防衛省はこうした現状を認識しながら対領空侵犯措置を見直してこなかった。
 政府筋は今回の措置について「米軍の気球撃墜措置が、基準緩和の検討を加速化させた」と、対中政策を巡って米国との関係を意識したことを認める。同盟国と歩調を合わせるために、武器使用という国家の主権に関わる判断を見直した側面もある。

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