米で車載電池の生産加速 EV国産化方針に呼応―自動車大手

東京, 9月5日, /AJMEDIA/

トヨタ自動車など自動車大手が、バイデン米政権が進める電気自動車(EV)の国産化方針に呼応し、米国でEV用電池の生産設備への投資を加速させている。英調査会社によると、車載用を含めた世界のリチウムイオン電池の生産能力は、8割を中国が占め、米国は約6%にとどまる。EVで出遅れた日本勢を含め、自動車メーカーは生産体制の強化を迫られている。
 トヨタは、ノースカロライナ州に建設する車載用電池工場への投資額を計約38億ドル(約5300億円)に増やす。2030年までに車載用電池に国内外で2兆円を投じる計画の一環となる。ホンダも、韓国の電池大手LGエナジー・ソリューションと合弁で、44億ドル規模のEV用電池工場を米国に新設する計画だ。
 米国勢も、ゼネラル・モーターズ(GM)が米国で4カ所目となるLGエナジーとの合弁工場を検討しているとされる。米EV大手テスラに電池を供給するパナソニックエナジー(大阪府守口市)は、2カ所目の工場をカンザス州に設けるほか、オクラホマ州でも建設を検討していると米紙に報じられた。
 バイデン政権は、北米で生産したEVを税制面で優遇する制度を8月に導入。中国中心の調達網からの脱却が目的で、車載用電池の生産や、原料である鉱物の調達を北米中心に切り替えることも求めている。ただ、新制度に対しては、米国の現状を反映しておらず、逆にEV普及の「大きな妨げになる」(業界団体)と批判の声が上がる。
 米最多の人口を抱えるカリフォルニア州は、35年までにハイブリッド車(HV)を含むガソリン車の新規販売を全廃する規制案を決めた。EVへの転換が加速するのは必至だが、長期化する半導体不足や、人件費・原料費の高騰といった問題に加え、米景気の後退リスクもくすぶる。日系自動車メーカーは「新制度で受ける恩恵が、調達網変更にかかるコストに見合うのか見極める必要がある」と指摘している。

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