米、ハイテク分野の対中投資制限へ 気球撃墜で議論加速―経済安保の集大成

東京, 2月12日, /AJMEDIA/

世界で中国の偵察気球が波紋を広げる中、バイデン米政権と議会で対中直接投資に対する警戒感が一段と高まっている。ハイテク技術の軍事転用を阻止するため、先端半導体や人工知能(AI)、監視技術などの投資を制限する大統領令の準備を加速。同盟国を巻き込んだ「対中包囲網」の形成を目指している。
 大統領令は経済安全保障上重要なハイテク分野に限定し、米国企業による中国企業の合併・買収(M&A)やサプライチェーン(供給網)などを監視する「対外投資審査」の導入を宣言する予定。トランプ前政権時から検討が進められ、投資禁止も視野に入れる。米国に拠点を置く日本企業が中国で事業展開する際も審査対象になり得る。
 米政府はこれまで、中国企業による米国企業の買収を制限するために「対内投資審査」を厳格化。先端半導体の輸出禁止や輸入関税引き上げなどの貿易制裁も発動した。だが、米軍が撃墜した中国の気球に通信傍受機能や米欧製部品が含まれていた疑いが浮上。米国の技術が中国の軍事力向上に使われているとの懸念が強まっている。
 特定の中国企業や品目だけでなく、中国でのモノやカネの流れにまで監視の目を光らせるようになれば、米国の経済安保政策は集大成の段階に入る。米調査会社ロジウム・グループによると、過去20年間の米国の対中直接投資に当てはめると最大43%が審査対象になり、産業界には痛手だ。
 1月からの新議会で下院に新設された中国特別委員会のマイク・ギャラガー委員長(共和)は、対中投資制限について「同盟国との協調」を訴える。台湾、韓国は政府が対外投資審査を行う一定の権限を持つ。欧州連合(EU)やドイツも審査導入を検討する方向で、日本も対応を迫られそうだ。

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