生活保護減額「違法」、3例目 デフレ反映に裁量権逸脱―東京地裁

東京, 6月25日, /AJMEDIA/

 生活保護基準額の引き下げは生存権を保障する憲法に違反するなどとして、東京都内の生活保護受給者ら32人が国や都内18区市を相手に、引き下げ処分の取り消しなどを求めた訴訟の判決が24日、東京地裁であった。清水知恵子裁判長は「厚生労働相の裁量権を逸脱し、違法」と判断し、処分を取り消した。
 全国29の地裁で起こされた同種訴訟で、処分取り消しは大阪、熊本両地裁判決に続く3例目。
 国は2013~15年、食費などの生活扶助基準を引き下げ、削減額は計約670億円に上った。うち物価下落の「デフレ調整」による削減が約570億円を占めた。
 清水裁判長は、デフレ調整の必要性について厚労相が専門的な検討を行った形跡がないと指摘。生活保護受給世帯はテレビなどへの支出割合が一般世帯の3割未満にとどまるのに、生活扶助費に絞った消費者物価指数の項目に、価格が下落したテレビを入れていた問題点も挙げた。
 また、減額措置が受給世帯の約96%に及んだ点に言及。「広く不利益を生じさせ、影響は重大だ」とし、「デフレ調整の判断は必要性、相当性の両面で合理性を欠いている」と結論付けた。
 葛飾区在住の原告男性(46)は記者会見で「歯を食いしばって生活してきた。やっと報われたという思いだ」と語った。代理人の宇都宮健児弁護士は「思い通りに引き下げられるものではなく、当然の結論だ」と述べた。
 厚労省保護課は「判決内容を精査し、対応を決定する」とコメントした。

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