注目集まる「グローバルサウス」 日本、サミットにらみ関与強化―ニュースQ&A

東京, 3月5日, /AJMEDIA/

岸田文雄首相は2月24日の先進7カ国(G7)首脳テレビ会議で「グローバルサウスへの関与や支援の重要性」を訴えた。5月のG7広島サミットでも重点テーマとして取り上げる方針だ。
 ―グローバルサウスとは。
 南半球を中心とした新興・途上国をまとめて指す呼称。かつての「南北問題」と同様に、先進国との対照で使われる表現で、地理的に「南」に位置するとは限らない。政府は「明確な定義はない」と説明しているが、アジア、アフリカ、中南米諸国を表すのが一般的だ。
 ―なぜ注目が集まるのか。
 そもそも経済的な存在感を高めていたが、契機となったのは、ロシアによるウクライナ侵攻だ。「日米欧」と「中ロ」の分断があらわになる中で中立的な立場を取る国が目立ち、国連総会でロシア非難決議を棄権した国も多かった。こうした態度から各国が抱える事情に関心が寄せられた。
 ―どんな特徴があるのか。
 例えばインドは、侵攻を巡る国連総会決議を棄権し続けている。旧ソ連時代から軍事面でロシアと関係が深く、G7などが禁輸したロシア産石油を安価で輸入。1月には125カ国が参加した「グローバルサウスの声サミット」を主催するなど、「第三極」の代表格としての動きを強める。大国間の対立に距離を置く姿勢は、ブラジルやインドネシアにも共通する。
 インドは今年の20カ国・地域(G20)議長国で、日本が連携を重視する。狙いの一つは、グローバルサウスへの働き掛け強化だ。
 ―日本はどう向き合うのか。
 政府関係者は「グローバルサウスは(欧米と中ロ双方から)踏み絵を踏まされている」と表現する。各国の事情に配慮しつつ、幅広い国が賛同しやすい「法の支配」というテーマを掲げ、ロシアに対する国際社会の結束に加わるよう促している。「どちらの陣営に付くかではなく、国際秩序の維持・強化の重要性を働き掛ける」(松野博一官房長官)という戦略だ。ただ、ロシアから武器を購入するなどつながりが深い国も多い。支持が広がるかは見通せていない。
 一方、ウクライナ情勢の影響で食料・エネルギーの供給不足や価格上昇に見舞われている国もある。政府は3日、アジアやアフリカなどへの食料支援として4500万ドルの資金協力を決めた。
 ―首相の姿勢は。
 昨秋からグローバルサウスに言及する機会が目立つ。今国会の施政方針演説で「関与を強化する」と訴え、答弁では「中間国を仲間に引き入れられるかは外交を動かす上で重要なポイントだ」と強調した。広島サミットにはG7メンバー以外の国も招く予定で、インドが取り沙汰されている。

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