日本学術会議 政府に勧告 “改正案の提出 思いとどまるべき”

東京, 4月19日, /AJMEDIA/

日本学術会議の会員の選び方などを見直す法律の改正案について学術会議は総会で対応を議論し、政府に対し、今の国会での提出を思いとどまるべきだなどとする勧告を出しました。

日本学術会議をめぐっては、当時の菅総理大臣が6人の会員候補を任命しなかったことをきっかけに、組織を見直す議論が行われていて、政府は今の国会で法律の改正案の提出を目指しています。

学術会議が開いた17日の総会では、政府の担当者が出席して改正案について説明しました。

この中で、会員の選考に意見を述べる“諮問委員会”の委員については、学術会議の会長のほか、総理大臣が議長を務める政府の「総合科学技術・イノベーション会議」の有識者1人など、3人で協議し、最終的な任命は学術会議の会長が行うため、政府の介入はないと改めて強調しましたが、学術会議の会員からは「政府の意向が影響することが危惧される」などと改正に反対する意見が相次ぎました。

18日の総会では、前日の内容を踏まえて改めて議論し、政府への勧告と国民に向けた声明の2つの文書を取りまとめました。

このうち政府への勧告では、改正案の今の国会への提出をいったん思いとどまり、学術会議の在り方を含め、日本の学術体制全般にわたる包括的・抜本的な見直しを行うための開かれた協議の場を設けるべきだとしています。

学術会議の梶田隆章会長は「政府は勧告を真摯に受け止め、学術会議が懸念する方向に行かないことを期待している」と述べるとともに、勧告の文書を総理に直接手渡す考えがあることも明らかにしました。

日本学術会議 国民に向け声明
日本学術会議は18日の総会で政府への勧告とともに、国民に向けた声明も出しました。

声明では「政府による任命見送りは透明性を欠いた決定で、その理由も示されていない点で、最低限の説明責任も果たされていない」としたうえで、去年12月に法改正を一方的に通告されたとして、真摯な対話のないまま手続き上の正統性に問題があるとしています。

そのうえで、法改正案は「学術会議の独立性を毀損する可能性がある」として、国内外の研究者などから懸念を共有する声があると記しています。

また、政府などの権力から独立し、自律的に発展する学術がもたらす多様な見解によって社会や世界の理解が豊かになるなどとしたうえで、法改正によって、
▽日本の国際的な評価や信頼が傷つけられる懸念があるほか、
▽研究力の低下を引き起こすおそれがあることなどを挙げ、
「日本の学術の終わりの始まり」にしてはならないとしています。
松野官房長官「政府の提案しっかりと受け止め議論を」
松野官房長官は、18日午後の記者会見で「日本学術会議法の改正案については、きのうから開催されている日本学術会議の総会でも事務方から丁寧に説明し、十分に意見を聴きながら進めている。さまざまな意見があると承知しているが、政府の提案をしっかりと受け止めて議論してもらいたい」と述べました。

また、改正案の提出時期については、「引き続き、今の国会への提出を目指して検討し、できるかぎり速やかに提出したい」と述べました。

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