改憲勢力、議席伸ばす 躍進の維新、議論進展要求

東京, 11月04日, /AJMEDIA/

 日本国憲法の公布から3日で75年を迎えた。衆院選では、「改憲勢力」とされる自民党、公明党、日本維新の会、国民民主党の4党が憲法改正の国会発議に必要な3分の2の議席を超え、勢力を伸ばした。躍進した維新は、年内に召集見込みの臨時国会や来年の通常国会で、停滞している改憲論議の進展を迫る構えだ。

 「党是である憲法改正に向け、精力的に取り組む。与野党の枠を超え、3分の2以上の賛成を得られるよう議論を深める」。岸田文雄首相(自民党総裁)は1日の記者会見で、衆院選を踏まえて改憲論議の前進を図る考えを強調した。

 衆院選で、自民は261議席の絶対安定多数を維持し、維新は公示前の4倍近くに躍進。公明、国民も議席を伸ばし、改憲勢力の議席は4党で324から345に増えた。首相は衆院選前、3分の2の310議席確保は「無理」と語っていたが、大きく上回った。

 議席数以上に注目されているのが勢力順。衆院第1党は自民、第2党は立憲民主党で変化はないが、維新が第3党、国民が第5党に躍り出た。第4党の公明と合わせ、トップ5党のうちの4党を改憲勢力が占めた。

 一方で改憲に慎重な勢力は後退が目立つ。立民と共産党は議席を減らし、慎重派の旗振り役を務めてきた立民の枝野幸男代表は近く引責辞任する。

 改憲をめぐっては、国民投票の利便性を高める改正国民投票法が6月、提出から3年を経て成立。改憲勢力は参院でも4党の会派で3分の2以上を占める。自民や維新は手続き法の議論は一段落したと主張しており、新たな勢力を背景に改憲案起草の議論を始めるよう要求を強める構えだ。

 自民党幹部は「改憲論議は確実に進める」と強調。維新の松井一郎代表は2日の会見で「来年の参院選までに改憲案を固め、参院選と同時に国民投票を実施すべきだ」とぶち上げた。

 ただ、改憲の発議に行きつくかどうか先行きは見通せない。自民が緊急事態条項創設や自衛隊明記を重視するのに対し、公明はいずれに対しても消極姿勢を崩していない。改憲内容をめぐっては改憲勢力内でも隔たりが大きい。

 首相は自民党総裁選中に「任期中に改憲の実現を目指す」と明言したとはいえ、その本気度をいぶかる声は根強い。実際、首相は衆院選の選挙戦ではほとんど言及せず、1日の記者会見では「国民の理解を得るための活動もしっかり行っていく」と国民の理解を重視する考えも示している。

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