広がる「心のバリアフリー」 宿泊・飲食315施設を認定―観光庁

東京, 5月05日, /AJMEDIA/

 段差解消といったハード面のバリアフリーに加え、もう一歩踏み込んだ気遣いを―。ソフト面の対応に取り組む宿泊施設や飲食店などに観光庁がお墨付きを与える「心のバリアフリー認定制度」の活用がじわりと広がっている。制度がスタートした昨年9月に認定を受けたのは66施設だったが、今年4月1日時点で315施設に増えた。
 認定には▽ハード面の対策を補う3種類以上のソフト対応▽従業員に対する年1回以上の教育訓練▽外部の予約サイトでの取り組み内容発信―の全てを満たす必要がある。認められると、観光庁が作製した認定マークを施設内やホームページに掲載できる。同庁担当者は「ハード面の整備と比べハードルは高くない」と話す。
 京王プラザホテル(東京都新宿区)は昨年9月にマークを取得した。予約段階で要望を聞き取り、車いすが通れるようにベッドの位置を変えたり、筆談用のタブレットを貸し出したり、ソフト対応は多岐にわたる。
 ホテルの広報担当者は「施設面のバリアーを全て解消するのは難しいが、ソフト面の対応でカバーできる」と強調する。
 障害を抱える人が営む店舗が認定を受けたケースもある。ラーメン店「麺屋義」(東京都台東区)店長の毛塚和義さんは生まれつき聴覚障害を持つ。
 同店は、言語障害者を含む全ての客が話さなくてもスープの濃淡や麺の硬さなどを伝えるための札を用意。盲導犬の入店も受け入れている。毛塚さんは「どんな方にも私のラーメンを食べてもらいたい」と笑顔を見せる。
 障害者団体「DPI日本会議」事務局長の佐藤聡さんは「世界的に見て、国内の宿泊施設や飲食店のバリアフリーは遅れていた。誰でも利用できるよう意識改革がさらに進んでほしい」と話している。

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