対話型AI、軍が警戒 「認知戦」利用に意欲も―中国

東京, 4月16日, /AJMEDIA/

【北京時事】各国で対話型人工知能(AI)を巡る議論が活発になる中、中国軍が国内での利用拡大に警戒を強めている。この分野で優位に立つ米国の「浸透工作」として、欧米の価値観流入を危惧。一方、自らに有利な偽情報を流し世論を操作する「認知戦」を念頭に、軍事利用に意欲を示している。
「ChatGPT」、競争本格化=巨大ITの覇権争い激化、暮らし変化に期待

 軍機関紙・解放軍報は、米新興企業の「チャットGPT」について、AIの学習データで英語が中国語を圧倒していることを踏まえ、生成される回答が「鮮明な政治的立場と価値観の傾向」を持つと指摘。利用者は影響を受けやすく、「認知戦の道具になりやすい」と懸念した。「プラットフォームを通じて価値観を輸出し、他国の人々の思考に影響を与えるのは西側のやり方だ」とも主張した。
 一方で同紙は、対話型AIの「潜在的軍事価値」に関する論考も掲載。「複雑な認知攻防戦術を用いて民衆の立場を変え、社会を分化させ、戦わずして屈服させること」が可能になるとして、活用に意欲を示した。
 「認知戦」はロシアのウクライナ侵攻で重要性が再認識された。中国は台湾との「祖国統一」に向け、認知戦に力を入れているとされる。
 習近平指導部は「科学技術強国」実現のため、対話型AIの利用を原則として進めたい考え。ただ、ネット空間の監視や取り締まりは年々強まっており、中国企業は厳しいルールの下での開発が求められている。
 中国国家インターネット情報弁公室は今月、対話型AIサービスに関する規制案を公表。AIが生成する内容について「社会主義の中核的価値観を反映し、国家政権転覆、国家分裂の扇動、経済・社会の秩序を乱す恐れのある内容を含んではならない」と明記し、サービスを提供する事業者が責任を負うよう求めた。

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