対中抑止へ日米一体 自衛隊の役割拡大、同盟変容も―2プラス2

東京, 1月8日, /AJMEDIA/

 7日の日米外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)後に公表された共同発表文書は、自衛隊の役割拡大につながる内容が目立った。軍拡を続ける中国に対して米国のプレゼンスが相対的に低下する中、日米が一体となり対抗していく狙いが鮮明だ。同盟の姿を変容させる可能性をはらむ。
 共同発表は日米を取り巻く安保環境が厳しくなっている点を指摘し、「いまだかつてなく統合された形で対応する。同盟を絶えず現代化し、共同の能力を強化する」と強調。日米の防衛技術に関する共同研究・開発の加速を表明し、中国や北朝鮮が開発している「極超音速兵器」の分析を協力して行う方針を示した。
 緊急事態に備えた共同計画の策定についても「確固とした進展を歓迎した」と明記した。「台湾有事」の可能性が取り沙汰される中、日米の緊密な連携をアピールする思惑が込められており、防衛省幹部は「米国と一緒に進むこと自体がメッセージになる」と解説する。
 日本側で焦点となっている敵基地攻撃能力の保有に関しては、日本政府が「ミサイルの脅威に対抗するための能力を含め、国家の防衛に必要なあらゆる選択肢を検討する」ことが書き込まれた。岸田文雄首相が国内向けに表明済みの内容を対米公約した形だ。
 中国は経済成長を背景にこの20年あまりで急速に軍備を増強。西太平洋地域での戦力は米国を上回るとの見方が増えてきている。バイデン政権は日本に役割を広げるよう求めており、今回の2プラス2でそれに一定程度応えたと言える。
 岸田政権は外交・安保政策の基軸となる「国家安全保障戦略」を今年末に改定するのに合わせ、敵基地攻撃能力の保有にかじを切る青写真を描く。
 ただ、自衛隊の役割増大や日米の一体化は、米軍が「矛」、自衛隊が「盾」を担うとする従来の構図を変え得る。「敵基地」関連の議論は今夏の参院選後に与党間で本格化する見通し。公明党幹部は早くも「今のままで十分抑止力はある」とけん制しており、調整は曲折が予想される。

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