夜通し議論、薄氷の合意 途上国向け基金で交渉難航―COP27

東京, 11月21日, /AJMEDIA/

エジプトで開かれた国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)は20日、会期を2日延長した後、閉幕した。会議では途上国が地球温暖化で生じた「損失と被害」に対応する基金の創設を求める一方、巨額負担を懸念した先進国はこれに反発。いったんは交渉決裂の雰囲気も漂ったが、基金の支援対象を特に脆弱(ぜいじゃく)な途上国に限定するなどし、夜通しの議論を経て合意にこぎ着けた。
 「いつ支払ってもらえるのですか。支払期限は過ぎているのです」。18日、西アフリカ・ガーナ出身のナケーヤ・ドラマーニ・サムさん(10)が洪水被害に苦しむ母国の窮状を訴えると、議場内の各国代表からスタンディングオベーションが起きた。サムさんは、先進国が排出する温室効果ガスが原因で途上国が異常気象に見舞われていると指摘。先進国には支援金を拠出する責任があると強調した。
 今回の会議を「アフリカのCOP」と位置付ける議長国エジプトは、先進国の経済発展の犠牲になってきた途上国の支援にこだわり、「損失と被害」を初めてCOPの正式議題に設定。アフリカを代表しているとの自負が「途上国寄り」の姿勢につながり、温室ガス削減に焦点を当てたい先進国との食い違いを生んだとの見方もある。
 一方、気候変動対策の進展にとって明るい材料もあった。世界の温室ガス排出量の計4割を占める米国と中国の首脳がCOP会期中にインドネシアで会談し、気候変動での協力再開で合意。インドが石炭のみならず化石燃料全般の段階的削減を打ち出したほか、ブラジルのルラ次期大統領がアマゾン熱帯雨林の破壊を食い止めると誓ったことも追い風になるとみられている。

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