ロシア侵攻前に値下がり 中国需要増で高騰再燃も―原油相場

東京, 3月5日, /AJMEDIA/

【ニューヨーク時事】ロシアのウクライナ侵攻で跳ね上がった原油相場が落ち着きを取り戻している。世界的な景気後退への懸念や欧州の暖冬が需要を抑え、価格は侵攻前の水準に下がった。ただ、景気回復が進む中国の需要拡大で、原油高が再燃するリスクもくすぶる。
原油価格の代表的指標である米国産WTI先物価格は、足元で1バレル=70ドル台後半で推移している。昨年2月に主要産油国のロシアがウクライナに侵攻を始めると、供給不安から一時130ドルに高騰。日本を含む各国の燃料価格を押し上げ、インフレに拍車を掛けた。
 その後は、景気が後退するとの見方から原油需要が低迷。国際エネルギー機関(IEA)は「今年前半は供給が需要を上回る」と分析する。
 ただ先行きは不透明だ。米欧諸国はロシア産原油の輸入を原則停止し、価格に上限を設定する制裁を発動。ロシア産原油への依存度が高かった欧州は、調達先を米国などに切り替えている。一方でロシアは、インドや中国への輸出を強化し、世界の原油供給の流れは大きく変わった。
 米石油大手エクソンモービルのウッズ最高経営責任者(CEO)は「(原油を巡る)混乱が市場にどう影響を与え、短期的に(供給網の)断絶がどうなるかが問題だ」と、強まる不確実性を警戒。世界の供給網が安定するには、時間がかかるとの見方を示した。
 中国の動向も原油相場のカギを握る。IEAは、厳格な新型コロナウイルス感染防止策を解除した中国で経済活動が活発化し、航空燃料需要が膨らむと予想。「(世界的な)需要回復とロシアの生産次第で直ちに供給不足に陥る」と、再び原油高に直面する恐れがあると警鐘を鳴らしている。

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