マスクの下に商機あり 口紅やチーク、化粧品市場に薄日

東京, 8月16日, /AJMEDIA/

 新型コロナウイルス感染拡大で販売減少に見舞われた化粧品市場に薄日が差し始めた。会話を控えるなどの条件を満たせばマスクを着ける必要がないとの見解を政府が表明。メーカー各社は、これまで隠れていたマスクの下に商機があるとにらみ、口紅や頬を彩るチークなどを売り込もうと懸命にアピールしている。
 資生堂は7月、全国7都市で主力ブランド「マキアージュ」などの商品をそろえた大型イベントを開催。徹底した感染対策の苦労が実り、計6000人超が詰め掛けた。東京・新宿の会場を訪れた20代女性は「マスクを外すことが増えたので、リップを新しくしたい」と楽しんでいた。
 マスク生活の長期化で、外したときに周囲に与える「マスクギャップ」の抵抗感を和らげる新商品を提案するのは花王。9月に主力ブランド「トワニー」から、ほうれい線を目立ちにくくする化粧下地を発売する。下地の成分が収縮して肌を引っ張り、しわを目立たなくするのが特長で、広報担当者は「マスクを外しても前向きな気持ちになってほしい」と話す。
 コーセーは、マスクを外しても違和感を与えないような色合いの口紅やチークが人気を集めると予測。肌になじむピンクやオレンジを推しつつも、「自分の好きな色でメークを楽しんでほしい」(美容開発部)と訴える。
 調査会社インテージ(東京)によると、コロナ感染が拡大した2020年のメーク市場は前年比25%減と大きく落ち込んだ。低迷は昨年も続いたが、今年は緩やかに回復。化粧品の口コミサイトを運営するアイスタイルの旗艦店「アットコスメトーキョー」(東京・原宿)は、5月の売上高が月間過去最高の3億円超を記録した。「外出機会が徐々に増え、コスメの消費意欲を後押しした」(広報)と分析する。
 ただ、訪日外国人客の需要回復が見通せず、コロナ前の水準には程遠い。インテージの木地利光アナリストは「全体では苦戦が続くだろう」と指摘した。

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